2001BOOK


1月 2月
書      名 著     者 書      名 著     者
ナイフ 重松 清 安曇野殺人紀行 新津きよみ
翼ある蛇 今邑 彩 蔵の中 小池真理子
記憶 西谷 史 イヴの原罪 新津きよみ
水の眠り灰の夢 桐野夏生 同窓生 新津きよみ
すべてがFになる 森 博嗣


 1月
ナイフ 重松 清 新潮文庫590円税別

「悪いんだけど、死んでくれない?」ある日突然、クラスメイト全員が敵になる。僕たちの世界は、かくも脆いものなのか!ミキはワニがいるはずの池を、ぼんやりと眺めた。ダイスケは辛さのあまり、教室で吐いた。子供を守れない不甲斐なさに、父はナイフをぎゅっと握りしめた。失われた小さな幸福はきっと取り戻せる。その闘いは、決して甘くはないけれど。坪田譲治文学賞受賞作。

「いじめ」がテーマの5編からなる短編集。ハブ(村八分のこと)・・・みんなで一人を無視する事は、一番のいじめになるのだろうか、それとも身体的に傷つけられる方が辛いのだろうか。この本ではいじめられている側が、いじめを受ける事について、さめた部分をもっているようだった。運が悪かった・・・とそのいじめを受け止めている。親の前ではなんにもないよという顔でいつものように明るく振舞う子供、心配をかけまいとしてなのか、いじめられていると言う事が恥ずかしいのか・・・心に重くのしかかってくるような本でした。この中でもわりと「エビスくん」はちょっとほろりとする感じで好きかな。        
  



翼ある蛇 今邑 彩 角川ホラー文庫762円税別

英文学翻訳家でフェミニスト、沢地逸子のホームページに「生理ガハジマリマシタ。ヨッテ、明日、母ナル神ニ生キ贄ヲ捧ゲル儀式ヲ行イマス。コンドハ人間デス」という不気味なメッセージが書き込まれ、その翌日、都内で大学生の猟奇他殺死体が発見された。 沢地の担当編集者、喜屋武蛍子は、同居している姪の火呂が自分に黙ってこのホームページにアクセスしていたことを知り、疑念を抱く。 火呂には胸に蛇の鱗に似た痣があり、かつてそれを見た神女が海蛇の生まれ変わりだと告げた記憶が蘇ってくる。長編ホラー。

こういう話は好きな部類で、面白かったんだけど、なんだかお話がひとつとしてまとまっていないような・・・。最後あれはどうなったの?これで終わっちゃうの?という感じでいまいちすっきりとしなかったな。                 



記憶 西谷 史 角川ホラー文庫552円税別

集団無意識にコンタクトする能力のある女子大生が探りあてた意外な歴史の暗部。インカと日本との交流の事実。そして謎の黄金の在処。壮大なスケールでもうひとつの真実を現出させたハイパーホラー



水の眠り灰の夢 桐野夏生 文芸文庫590円税別

昭和38年9月、地下鉄爆破に遭遇した週刊誌記者・村野は連続爆弾魔・草加次郎事件を取材するうちに、一人の高校生の殺人事件の容疑者に。東京オリンピック前夜の高度成長期を駆け抜ける激動の東京を舞台に、村野の執念が追いつめたおぞましい真実とは。孤独なトップ屋の魂の遍歴を描くミステリー。



すべてがFになる 森 博嗣 講談社文庫714円税別

孤島のハイテク研究所で、少女時代から完全に隔離された生活を送る、天才工学博士・真賀田四季。彼女の部屋からウェディング・ドレスをまとい両手両足を切断された死体が現れた。偶然、島を訪れていたN大助教授・犀川創平と女子学生西之園萌絵が、この不可思議な密室殺人事件に挑む。新しい形の本格ミステリー。

「すべてがFになる」う〜〜ん・・・一応面白かったんだけど、読む時間がなかなかなかったってことで、すっごく読むのに時間がかかってしまった、終わる頃には最初の方の事忘れてたりして(^o^;)  私はコンピュータに強くないので、いまいち理解出来なかった部分も・・・




 2月
安曇野殺人紀行 新津きよみ ハルキ文庫740円税別

結婚を一ヵ月後に控えた藤森岳志は、独身最後の想い出として、悪友とともに山に登ったが、縦走中に転落死してしまう。婚約者の野々村亜衣は、自分がお守りにと首にかけたペンダントが遺体にないことに、不審を抱くが―。一年後、別の遭難場所から、鎖の切れた、あのペンダントが発見された。真相を追う亜衣の身辺で次々と殺人事件が起きる……。長篇旅情ミステリー

犯人をみつけていくにはどの本も、え〜こんな偶然ってあるの〜?という事が多々あるけど、これもそんな感じだったな。あら〜、この人も殺しちゃうのね、(ムダ殺し)というイメージも。


蔵の中 小池真理子 祥伝社文庫381円税別

会えば会うほど苦しくなり、切なさが増して、別れがたくなる。交通事故で半身不随になった夫の世話をする毎日。唯一、心を支えてくれるのがあの人、夫の親友であり、事故の加害者でもある新吾だった。これは宿命的な恋、だが人は欲求不満の人妻と嗤(わら)うだろう――秘めた恋の果てに罪を犯した女の、狂おしい心情を活写した、心理サスペンス

短編でおさまるのを、中編までわざと延ばした・・・というように思えてしまった一冊でした。



イヴの原罪 新津きよみ 光文社文庫        

都内の大邸宅の離れを借りて住みはじめた二人のOL・祥子と美加。しかし美加は不慮の事故で帰らぬ人に。悲しみに暮れる祥子は、美加が新人賞に応募しようと執筆していた小説の原稿を偶然みつけた。「親友の魂を慰めるために・・・」祥子が、自分が書いたと偽って応募したことから、運命の悪戯が始まる。

面白かったけど、ちょっと安易な展開かなぁ〜
こんなに世の中甘くないでしょーと突っ込みたくなる。



同窓生 新津きよみ 角川ホラー文庫533円税別

大学時代の友人たちと、十四年ぶりに集まる事になった史子。近況報告や思い出話をしながら、楽しいひとときを過ごしていた。ところが、誰もが憶えている「鈴木友子」という同級生のことを、史子はどうしても思い出せない。皆に「鈴木さんと一番親しかったのはあなたのはず」と言われ、史子の不安はますます大きくなるが・・・。複雑に絡み合った記憶の底から恐怖が滲み出す、ホラー・サスペンス。




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