2000年度



 作 家   題   名    ちょびっとあらすじ(カバー・帯より)    おぼえがき(^o^;) 出 版 社
真保裕一 ホワイトアウト 日本最大の貯水量を誇るダムが、武装グループに占拠された。職員、ふもとの住民を人質に、要求は50億円。残された時間は24時間!荒れ狂う吹雪をついて、ひとりの男が敢然と立ち上がる。同僚と、かつて自分の過失で亡くした友の婚約者を救うために―。圧倒的な描写力、緊迫感あふれるストーリー展開で話題をさらった、アクション・サスペンス。吉川英治文学新人賞受賞。 先に映画をみましたが、映画で圧倒されて本を読むのが楽しみ・・・と言う感じで読み始めました、期待以上の面白さでした。映像で先に見た分、ホワイトアウトの場面とかダムの場面とか、読んでいて頭に浮かんできたのも、面白く読めたのかもしれない、テロリストよりも、圧倒的な自然との戦いの方が、辛く過酷でしたね、何度死んでもおかしくない場面が多々ありましたが・・・まぁ、お話って事で^^;厚い本なのに、読み始めたらやめれなくなり、一気に読めちゃいました、最後は涙・・・です。 新潮文庫
781円税別
坂東眞砂子 屍の声 「惚けてしまったおばあちゃんは生ける屍や。正気のおばあちゃんは死にたがっている」そう信じた少女は溺れる祖母を見殺しにした。そして通夜の席で一瞬、確かに祖母は蘇った―表題作「屍の声」の他、5編の恐怖短編を収録。因習としがらみの中で生きる人間たちの、心の闇に巣くう情念の呪縛。濃密な風土を背景に描く、恐怖の原型とは。記憶の底に沈む畏怖の感情を呼び起こす本格ホラー小説集。 読みやすく ̄(=゜O°;アッ!っという間に読めてしまった1冊でした。やっぱりこの方の書かれるホラーは、風土色豊かで、方言もお話の恐さを増すスパイスとなっていて結構好きです。 集英社文庫
419円税別
高橋克彦 霊の柩 『竜の柩』…世界各地に伝説として残る“竜”とは何か?文明史を覆す壮大な推理!
『新・竜の柩』…シュメールと日本を結ぶ、神々の謀略と闘争!前人未到の大巨編。
『霊の柩』は↑の続編

「たしかにここは十和田湖畔だ。しかし・・・」久鬼虹人たちは眼前の光景に驚愕した。世界各地に<竜>の足跡を追い求め、さらにイシュタル神の導きで縄文日本へと旅した彼らは、ようやく「現代」へ帰還したはずだったが―到着したのは、なんと大正八年の青森・津軽だった。なぜ七十数年もズレたのか?どうしたら戻れるのか?やがて若き日の宮澤賢治、江戸川乱歩らと出会い、九鬼は閃いた。「現代」に帰るには<神>と交信するしかない―かくして九鬼たちは霊能ブームに沸く英国ロンドンへと旅立った。はたして彼らを待ちうけるものは・・・。<神>とは?<霊魂?とは?人類最大の謎と、歴史の定説に敢然と挑む大河ロマン。
私、この方の作品の何が好きかって、夢のある仮説でしょうか、ほとんど信じきってます。いいですねぇ〜^^この本もなぜ日本はジャパンというのか・・・という事が出てきましたが、これこそ私がずっと???だったものでした、でもこんな事人に恥ずかしくて聞けないから、黙ってたんですけどね。私の大嫌いな幽霊話も出てくるんですけど、九鬼さん達誰も怖がってないんですよ、だから幽霊の恐さが全然なくて私でもその部分は読めました、かなり分厚いけど中だるみせず、
ほんっとに面白い1冊ですよ。
祥伝社
2500円
税別
高橋克彦 長人鬼 天変地異や変事を扱う陰陽寮の頭、弓削是雄は当代一の術士と衆人より目されていた。彼は陰陽師の記温史、えみしの淡麻呂、陸奥で山賊の女頭目であった芙蓉・・・と多士済済の者たちを配下に従え、忙しい日々を送ってた。そんなある日、羅城門に人の倍以上も
背丈のある鬼長人鬼≠ェ現れた。一方、是雄は関白からの急な呼び出しがあり、「淡路行き」の命を受けるが・・・。是雄たちが怪異の謎に挑む、妖かしの新物語。
この陰陽師ものは、私はあまり好みではありません^^;そんな中でも髑髏鬼はいい味出してて好きです。 ハルキ・
ホラー文庫
419円税別
内田康夫 秋田殺人事件 秋田県の副知事として着任予定の女性官僚のもとに二通の不吉な警告文が・・・。おりしも、秋田では二件の不審な自殺事件が起きていた!副知事の秘書として秋田にとんだ浅見の推理が、秋田杉に絡む第三セクターの闇を抉る!長編推理小説。 久しぶりの浅見さん(=^-^=)  
今回の話は千葉県が出ると言う事で、楽しみにしてた本だったのだけど千葉県話がちょっとしか出て来ないよ〜、、、それはさておき・・・、なぁなぁな事勿れ主義の世界を、変えようとするには、しがらみのない外部の人間でないと、難しいのだろうか。それにしても。内田先生は女性をカッコ良く描きますね。
光文社
1500円
税別
和田はつ子 虫送り 北海道、井戸無村。そこでは生物農薬として使っていたてんとう虫が異常繁殖を始め、川魚を集団で襲うという怪現象が起きていた。そしてこの現象に疑問を持った人間が次々と怪死を遂げる。一方札幌では、虫の死骸とともに木箱に入った女性の白骨が発見された。村に研究のために滞在していた文化人類学者の日下部が見た悲劇とは・・・。虫に憑かれた男の狂気が生み出す戦慄のバイオ・ホラー。 日下部先生シリーズ。最後がちょっと無理がありすぎるような・・・(^o^;) 話じたいは、私の好きな分野だったので、サクサク読めました。でも、虫に襲われながら死んでいくのは・・・読んでてうげっ!だったわ。 角川ホラー
文庫
552円税別
新津きよみ 結婚紹介
殺人事件
榊原千亜記の短大時代からの親友・橋本恵美がアパートの自室で全裸死体となって発見された。恵美は結婚紹介所<エルピーライフ>に入会しており、その日も五人目の相手とデートをしていたはずであった。千亜記は「恵美がスキャンダラスな女ではないこと」を証明するために、刑事の忠告を無視して、単独で捜査を始めるのだが・・・。幸せな結婚≠夢見る男と女の交錯する愛憎を描く長篇ミステリー。 今まで私が読んだ新津さんの作品は、わりとシリアス物が多かったのだけど、この本は明るい。友人の死の真相を探ろうとする勇気ある友達思いの千亜記。かと思うと、付き合っている恋人はいるのだけど、あまり将来性を感じなくて、いつまでも結婚をしぶる打算的な部分も持っているし、友達が気に入っているとわかっている弁護士と付き合ったりと、私にはちょっと理解出来ないところもあるけれど・・・。結婚を考える女性心理をうまく描いた作品。 ハルキ文庫
760円税別
新津きよみ ふたたびの
加奈子
五歳になる一人娘の加奈子を交通事故で亡くした桐原容子は、夫の信樹と加奈子の魂≠ニ三人で暮らしていた。容子は食事の時も、外出する時も、いつも加奈子の魂≠ニ一緒だった。だが、そんなある日、加奈子の魂≠ヘ転生の場所を見つけたらしい。妊娠三ヶ月の主婦<野口正美>の身体だ。容子はひたすら正美の出産を心待ちにするのだが・・・。愛する子を失った深い悲しみと、意外な結末が感動を誘うホラーサスペンス長編。 人間何が不幸か・・・私は小さい子を亡くした親程不幸なものはない・・・と思っています。容子も苦労してやっと授かった一人娘を事故で亡くして、精神に異常をきたす・・・という話なのかな?と最初思ったのだけど、それではあまりにもありきたりだと思っていたら全然違いました。結末が明るくて良かったな。 ハルキ・
ホラー文庫
514円税別
新津きよみ 殺意が見える女 似ている――椎名由美は喫茶店で出会った女を見て息を呑んだ。彼女は手にした一枚の紙をじっと見つめていた。その食い入るような視線には、鬼気迫るものがあった。その紙に印刷された「離婚届」の文字。<わたしはいったい、何をしているのだろう>そう思いながらも由美は、彼女を尾行した。やがて一軒の店に入った彼女は包丁を買った(表題作)。女性心理サスペンスの気鋭、初の短篇集。 一難去ってまた一難・・・という結末が多い。自分で悪い事をしたのが発端なのだけど、それが発覚せずに済んでも、結局は最後に足元をすくわれるんだよ〜。悪い事はしちゃだめよね。
表題作の『殺意が〜』も、助けられたのに、あとで…が待っていそうだし、人間一寸先は闇という感じでしょうか。最後の話の持っていき方がとってもうまい。
徳間文庫
514円税別
飯田譲治 NIGHTHEAD
/邂逅
サイコネキス能力を持つ兄・直人とリーディング能力を備えた弟・直也は、隔離されていた超能力研究所から外の世界へと脱出した。しかし、彼らは運命の歯車の中に放り出されてしまったのだ。平成のノストラダムスと呼ばれる神谷司は人類の滅亡に霧原兄弟がかかわると予言した。同じ頃、直也も人類滅亡のビジョンを見てしまう。その人類滅亡のかぎを握る、<倉橋加奈子>を訪ね、二人はライブ製薬東京研究所にのりこむが・・・。 不可思議なものにたいして“拒絶”によって不幸になった者、“受容”によって救われたもの・・・いろいろなものに対して、肯定しなければ見えないものもある。霧原兄弟は自分の力に悩みながらも、だんだんと自分の全てを受け入れ、世界を受け入れ自分の出来ることに立ち向かって、運命を切り開いていく姿勢に、前作にはあまり見えなかった強さが出てきたと思う。これもとても面白い一冊。 角川ホラー
文庫
800円税別
小池真理子 キスより優しい
殺人
父の経営するバードショップにやって来た赤い口紅の女は、僕の五官を麻痺させる魔力を持っていた。翌日、カナリヤを屋敷に届けた時、柏木園子というその美貌の人妻は、「カナリヤの鳥かごがベランダに出ている時に来て」と、僕を誘惑した。僕はそれから毎日屋敷の前をうろつき、園子との濃密なひとときに夢中になる。だが彼女の目的は他にあった・・・(表題作)日常の恐怖十五篇。 最近、恋愛ものばかりだったので、久しぶりに私の好きな分野の本でした。表題作の『キスより〜』は、簡単に美しい人妻に誘惑された、バカな男の哀れな末路…というどこにでもありそうな話ですが、ラストがさすが!と思わせる作品になってます。『目には目を』がこの中では一番面白かった。 徳間文庫
495円税別
飯田譲治 NIGHTHEAD
/覚醒
強すぎる超能力を持って生まれた霧原直人・直也兄弟。ふたりは、その力ゆえ両親に恐れられ御厨恭二郎の超能力研究所に隔離されたが、“岬老人”の死により結界が破れ外の世界へと脱出する。「ふたりが外に出るとマイナスの力を引きつけてしまう」御厨の言葉通り彼らを待ちうけていた「外」は、<楽園>ではなく人間の欲望が渦巻く<闇>の世界だった。次々と彼らにふりかかる恐ろしい事件。やがてふたりは自分たちの能力にかかわる不思議な運命に翻弄されていくが・・・。 何年か前にテレビで話題になっていた頃から、興味はあったのだけどテレビは見逃してました超能力物はもともと好きなので、それだけで話に入っていてたんだけど、能力を持ってしまったばかりに、普通の生活が出来ない兄弟の悩み苦しみが痛い。超能力があればなんでも出来ると考えがちな私だけど、否応もなく相手のどろどろとした心とか、入ってきてしまったらたまらないだろう。傷つきながらも自分達の存在をみつめていく兄弟の姿に心ひかれる、とても面白い一冊でした。続きあり。
角川ホラー
文庫
800円税別
小松重男 のらねこ侍 御先手同心・長谷川冬馬と妻の樹緒は、、無類のねこ好きだ。夫婦には子がなく、子宝を祈願して回る寺院に住みつくのらねこを虎太郎と名づけて可愛がる。やがて二人に男の子が生まれ、虎次郎と命名した。ある夜、冬馬は、床屋の帰り道、またたびを用いてねこを狙う男を捕まえたことから思わぬ事件が・・・。
綿密な考証に基づき、趣向を凝らした極上作九編を収録。
表題作の「のらねこ侍」は、短編なのでそれほどの深みはないのだけど、ほのぼのと温かみのある作品。ちょっとご都合主義のような気もするけど。
光文社時代
小説文庫
514円税別
乃南アサ 殺意・鬼哭 「殺意」 は加害者 ・真垣徹の独白で綴られている。内なる大輪の花に魅せられ、彼は 「殺人者」 になる。「鬼哭」は被害者 ・ 的場直弘の独白で綴られている。それは刺されてから死ぬまでの三分間の意識の流れ。「おそらくミステリー史上、かつてない試みであろう。……エンターテイメントの域をはるかに越え出た力業であると評された異色作。 同じ殺人事件の、加害者の側からの「殺意」と被害者側からの「鬼哭」、ミステリー史上、かつてない試み・・・といわれたらしいが、単調で、私にとってはいまいち面白くなかった本。 双葉文庫
667円税別
小池真理子 美神 ミューズ 阿佐子は、背中に薄いピンクの羽を隠し持っているような子供だった。少女から女へ。儚いほど完璧な美、存在自体が放つ官能の気配、そのすべてが周りの人々を狂わせる。男たちは蜂蜜色にきらめく肌に惑い、阿佐子の表現する愛情はなんであれ、彼らの猜疑心を刺激した。あまりにも美しき破滅の愛の物語。 9歳・17歳・22歳・26歳・30歳・35歳の阿佐子を、それぞれの時期に、阿佐子に魅せられた男達の視点から描かれている。この世のものとは思えぬほどの、美しさを持って生まれた阿佐子だけど、なぜかいつの時代も幸せには見えない、いつも寂しさを感じてしまう。私の好きなジャンルではありませんが、読みやすいです。 講談社文庫
495円税別
我孫子武丸 殺戮にいたる病 永遠の愛をつかみたいと男は願った―東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。犯人の名前は、蒲生稔!くり返される陵辱の果ての惨殺。冒頭から身も凍るラストシーンまで恐るべき殺人者の行動と魂の軌跡をたどり、とらえようのない時代の悪夢と闇を鮮烈無比に衝撃のホラー。 犯人の蒲生稔・蒲生雅子、稔の被害者“島木敏子”と縁のあった元刑事樋口の三人の視点から描かれてます。 最初から最後まで、一つの大きなトリックがしかけられているけど、だんだん読んで行くと最後まで読まなくてもそのトリックに気付いちゃうかな^^;でもすっごく面白かった。さすがこの作家の代表作というだけはあります。 講談社文庫
524円税別
我孫子武丸 たけまる文庫
怪の巻
業界初(?)の 「ひとり雑誌」 形式で世間を「あ〜っ?」 と言わせた話題の短編集「小説たけまる増刊号」が、 なんと今度は驚きの「個人文庫」 になって帰ってきた―。記念すべき第一回配本分は、ホラー作品を集めた「怪の巻」 をお届けします。 猫を異常に恐れる男の話 「猫恐怖症」、 さくらが頭蓋を食い破る 「春爛漫」、小説の通りに起きる惨殺事件の謎「猟奇小説家」など選りすぐりの九編。
…怖いです。
「猫恐怖症」につられて買った本^^;初めから7編は、落語を隠しテーマにしたらしい・・・らしいとは、私が落語を良く知らないからないんだけど・・・それでも「猫恐怖症」は「饅頭こわい」ってことくらいはわかりました^^  
・・・全然感想になってませんね^^;;;
読んでからかなりたってしまったので、すっかり忘れちゃったのです。面白くなかったって事じゃありませんよ〜♪
集英社文庫
476円税別
早坂真紀 一枚の絵の中に いい女は「ひとり」が似合うとか。レストランな
どで、ひとりで食事をしている姿を見ると、女
性の値打ちがわかるらしい。 素敵な女性は
そこにいるだけで絵になるのだろう。 年齢に
関係なく、どこで何をしていても華になってい
る。 私は、そんな女性になりたいと、 いつも
「一枚の絵」の中で自分がどう描かれている
かを思いながら生きている・・・。
いつも「一枚の絵」の中で自分がどう描かれているかを思いながら、けっして妥協することなく、生き方に誇りを持っている方で素敵です^^私エッセイ苦手な上に、耳の痛いこと結構書いてあって読みたくないぞ!ってとこもあったんですけど^^; でも、自分の思ってる事もぴしっ!と書いてあるので読んでて小気味いいです。 祥伝社
1600円
税別
飯田譲治
梓河人
アナザヘブン
(上下)
ベテラン刑事飛鷹健一郎と部下の早瀬学の
前に東京を震撼させる連続殺人事件が発生
した。犯人は、殺害した被害者の首を切り取
り脳を料理していたのだ。飛鷹と早瀬は犯人
らしきひとりの女を追いつめ、事件は解決す
るかのようにみえたが・・・。
未知の猟奇殺人事件に二人の刑事が挑む、
サイコサスペンス。
アナザヘブン―もうひとつの天国。首を切り取られた上に、脳を取り出されその場で脳を料理して食べた…という、かなりショッキングな出だしでしたが、読み進むにつれ「悪意」の固まりの“なにか”の「愛」が、クローズアップされてくるところが、今までにない展開で面白かったかな。飛鷹と早瀬の二人の刑事の世界観も全然違うのに、ものすごくぴったりなコンビで、私はこの二人のファンになってしまいました。もっと読みたい!その「なにか」の悪意に対してすべてが終わった後作中で飛鷹は、「俺は確かにひどいやつかもしれないが、○○の死に涙がこみあげる。人間を絶対に嫌いになれない。悪意をしたたかにもって、そのくせ自覚もなく、それをコントロールできないでいる人間を。愚かな俺自身を。俺は嫌いになりたくない―。」という言葉が深く心にしみる。「朝子」のキャラ・飛島の奥さんの「美冴」娘の「チカ」もいいなぁ^^要所要所でのUFOの出現も結構効果的かも。 角川ホラー
上648税別
下648税別
乃南 アサ 悪魔の羽根 マニラから日本に来て銀行員に嫁ぎ、二児の
母になったマイらは、新潟に越して初めて雪を
体験する。 灰色の空から降り込める「悪魔の
羽根」は、 快活だったマイラをやがて蝕んで、
家族の歯車は狂ってゆく―。表題作ほか、梅
雨、 台風、 残暑など日本の豊かな四季が人
間の心を追いつめ、 狂喜に駆り立てるさまを
綴る心理サスペンス。「悪魔の羽根」の他、6
編を収めた短編集。
日本の四季を犯人に仕立て上げた作品
集。最初の「はなの便り」では、 優香子
にどんな事情がと、ドキドキ読み進んで
いったら…意外な結末が待っていました
殺人も犯罪(「指定席」は犯罪だけど)も
おきない、心のミステリー。
この中で一番好きなのは、やっぱり「は
なの便り」かな。全体的にすごく読みや
すかったです。
幻冬舎文庫
533円税別
京極 夏彦 姑獲鳥の夏 この世には不思議なことなど何もないのだよ
―古本屋にして陰陽師京極堂が憑物を落とし
事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。東京
雑司が谷の医院に奇怪な噂が流れる。
娘は二十箇月も身篭ったままで、その夫は密
室から失踪したという。文士・関口や探偵・榎
木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。
最初の100ページまでで疲れて、 他の
本に浮気したし、京極堂がなに言ってん
だかさっぱり頭に入ってこなくて、何度投
げ出そうかと思ったことか。まぁ、 半分く
らいからは話に引き込まれて面白かった
ですよ。最初の京極堂のうんちくは、そ
の後の関口の???な目と心の付箋だ
ったってのは、最後まで読めば納得だけ
ど、それにしてもあんなのあり?
講談社文庫
800円税別
小池真理子 欲望 三島由紀夫邸を寸分違わずに模倣した変奇
な館に、運命を手繰り寄せられた男女。 図書
館司書の青田類子は、 妻子ある男との肉欲
だけの関係に溺れながら、 かつての同級生
である美しい青年 ・正巳に強くひかれてゆく。
しかし、 二人が肉体の悦びを分かち合うこと
は決してなかった。正巳は性的不能者だった
のだ・・・切なくも凄絶な人々の性、愛、そして
死。究極の恋愛小説。
私は恋愛小説はどちらかというと苦手。
だからといってこの本が面白くなかった
わけではなく、たくさん共感したし、本の
中に入っていけて、最後はせつなくて涙
も出てきてしまった。小池さんの描く恋の
世界は、狂おしいほどぴーんとはりつめ
た糸が、息苦しくなるほど私に覆い被さ
って来る事が多い。自分で同じ経験など
もちろんした訳じゃないけど、相通ずる部
分があるような気になります。
さすが小池さんと思わせる本でした。
新潮文庫
667円税別
乃南アサ 凍える牙 深夜のファミリーレストランで突如、 男の身体
が炎上した! 遺体には獣の噛み傷が残され
ており、 警視庁機動捜査隊の音道貴子は相
棒の中年デカ滝沢と捜査にあたる。 やがて、
同じ獣による殺人事件が続発。この異常な事
件を引き起こしている怨念は何なのか?
そして、野獣との対決の時が・・・女性刑事の
孤独な闘い。直木賞受賞作。
やはり・・・“疾風”でしょ〜。サムライを思
い起こさせるその精神。 復讐のために
育てられ訓練された 「ウルフドッグ」彼の
終わり方が、せつなく神々しく泣けてしま
った。どうも動物が出てくる本は、ついそ
ちらの方に目が向いてしまうなぁ(^o^;)
音道さんが受ける女性蔑視、相棒の滝
沢さんは女刑事とコンビを組むことになっ
たのが面白くなく、つい音道さんを無視
するような行動をしてしまう。
その二人の意地の張り合いが読んでて
面白い。 でも、実際働く女性は音道さん
のように辛い思いいっぱいしてるんだよ
ね。テレビとかでは颯爽とカッコ良く事件
解決してる女刑事さんも実際はこのよう
に苦労してるんだろうね。
新潮文庫
705円税別
松岡圭祐 千里眼 横須賀基地から最新鋭のミサイルが突如、
都心に向けて発射された。着弾を阻止するに
は十桁のパスワードを解読しなければならな
い。岬美由紀は解読に成功・・・。
一方、 千葉の南房総では東京湾観音に魅せ
られた少女の姿があった。その陰には世界を
震撼させる(催眠)の罠が待ちうけていた。
文章が「〜だった」「〜かった」「〜いた」
等、プチプチと短く切れるので、最初イヤ
に読みずらく、なかなか進まなかったけ
ど半分過ぎからはまっちゃってあっとい
う間でした。意外な人が恒星天球教教祖
だったという、お決まりの感もありました
が(疑わしくない人が犯人)。名前は出
てこないけど、「催眠」の嵯峨さんも関係
してるようで、次回作への興味も大!で
す。この本は話しがあまりにも大きく非現
実的で、ドラマ的というよりは映画向きか
な。(映画になるんだったね^^)
小学館文庫
657円税別
折原 一
新津きよみ
二重生活 わたしを裏切った男と侮蔑したあの女は絶対
に許せない!ふたり同時に復習するには、あ
の方法しかない・・・男に妻も子供もいると知
った愛人の心に燃えたぎった嫉妬と殺意。
重婚をテーマに男女の息づまる駆け引きをス
リリングに描く多重心理ミステリー。
折原一・新津きよみ夫妻合作。
最初すっかりだまされてしまったというか
あまり詳しく書くとこれから読む人の楽し
みを奪ってしまうので、 これ以上書きま
せんが、題名の「二重生活」の意味が最
後にわかる・・・という感じでしょうか。
講談社文庫
552円税別
篠田節子 女たちのジハード 中堅保険会社に勤める5人のOL。条件の良
い結婚に策略を巡らす美人のリサ。 家事能
力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能でありな
がら会社を辞めざるをえなくなったみどり。
自分の城を持つことに邁進するいきおくれの
康子。得意な英語で自立をめざす沙織。
男性優位社会の中で、踏まれても虐げられて
も逞しく人生を切り開いて行こうとする女達。
それぞれの選択と闘いを描いている。
第117回直木賞受賞作。
あ〜〜〜っという間に読めちゃいました
パソコンが我が家に来てからは、本に
なかなか熱中出来なかったので久しぶ
りの事だなぁ(=^-^=)って事で、お分か
りでしょうがかなり面白いです
テンポが良く、それぞれの女性の考え
方・・・悩み・夢・現実・決断が、自分で
も思い当たるところなどがあり、彼女達
を応援していました。私の好みはリサち
ゃんと康子さんかな^^
集英社文庫
705円税別
乃南 アサ 結婚詐欺師
(上下)
小滝橋警察署に勤務する“阿久津”は、ホス
テスから結婚を約束した男と急に連絡がとれ
なくなったと相談を受ける。その男“橋口”は
いろいろな男になりすまし言葉巧みに結婚を
ちらつかせて同時に何人もの女性からお金を
だましとる、結婚詐欺師だった。
この作家の本はとにかくどれをとっても
読みやすい。
刑事と結婚詐欺師と騙される女の、 3
人3種の心理描写にひきこまれました。
口下手の私は、“橋口” の口八丁手八
丁には職人を感じてしまう(・_*)\ペチ
幻冬舎文庫
上下共
533円税別
新津きよみ 捜さないで 単調な日常と無関心な家族。夫や娘の無神
経な態度にキレた倫子は 『捜さないで』と書
置きを残し、友人の留守宅マンションで一時
の解放感を味わっていた。 ところがその矢先
見知らぬ男が興奮した面持ちで現われた。
「捜し出したぞ」この男は何者?が、その一言
が、倫子の陥ちた犯罪への序曲だった・・・。
日常から逸脱した主婦が見た、人間心理の奥
底に潜む狂気とは?
私のことをなんだと思ってるの!怒りを
家族につき付けた気持ちはわかるニャ
でも、それによって取り返しのつかない
事件に巻き込まれていくあたり、話がう
まく繋がってとても面白い1冊でした。
祥伝社文庫
533円税別
松岡 圭祐 催眠 ある嵐の晩ニセ催眠術師の前に現れた女。
稲妻がとどろく中、突然女はかん高い声で笑
い出し、自分は宇宙人だと叫び始めた、その
女が見せた異常な能力・・・。そして東京カウ
ンセリングセンターの“嵯峨”が見抜いた女の
能力の秘密とは・・・。
映画の宣伝ではホラーっぽいのかな?
と思ってたけど、
全然違いましたね^^
多重人格ものは結構好きなんだけど、
この本はおどろおどろしさはまったくなく
読んだ後は気持ちの良い爽快感が残り
ました。
小学館文庫
619円税別
真保 裕一 奇跡の人 31歳の相馬克巳は、 交通事故で一度脳死
判定をされかかりながら命をとりとめ、 「奇跡
の人」と呼ばれる。 彼は事故以前の記憶をな
くしていた。8年間のリハビリ生活を終え退院
した彼は、 消えた過去を探す旅に出る。
自分探しミステリー。
記憶を無くしてしまったら、やっぱり私も
自分探しをするのだろうか・・・。
母親と“克巳”の視点から書かれている
のだけど、なぜか新鮮に思えた。
文章力があるからでしょうね。
“克巳”の人物設定、回りの人物設定が
とてもうまく、引き込まれる作品です。
新潮文庫
743円税別
坂東真砂子 山妣(上下) 明治末期、越後の山里の奉納芝居の指南に
東京から旅芸人が招かれた。 不毛の肉体を
持つ役者“涼之助”と村の暮らしに飽きている
地主の嫁 “てる” の密通が序曲となり悲劇の
幕が開く。直木賞受賞作。
読み進むにつれてどんどん話に引き込
まれていきました。 最初なかなか進ま
なかったけど(^o^;) 愛した男を待つう
ちに山姥と人から思われてしまった“い
さ”良く一人で何年も山の中で暮らせた
と・・・恐がりの私は変なとこで関心した
りして(^_^;)\(’_’) オイオイ...
新潮文庫
上667税別
下514税別
新津きよみ 招待客 結婚を間近に控えた “高谷美由紀”、彼女に
は命の恩人が二人いる。 その一人、幼い頃、
増水した川で溺れかかった時、 助けてくれて
男子高校生を結婚式に招待することにした。
しかしかつての「恩人」はひそかに豹変してい
た・・・。
かつての「恩人」はふとしたことからひき
こもりとなってしまう。その理由はほんと
に些細なことなのだが・・・。自分にはな
んでもないことでもその人にとっては、こ
こまで追い込んでしまうことになるのだ
から、人付き合いってむずかしい。。。
そして、ひきこもられてしまった母親は、
だんだんと精神が蝕まれてしまうのは仕
方ないことか。最後(/o\)きゃぁ〜って
顔を覆いたくなるようなハッピーさだった
角川ホラー
 文庫
571円税別




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