書  棚 


篠田節子

題    名           あ ら す じ (カバーより)
絹の変容 レーザーディスクのように輝く絹織物―。偶然、不思議な糸を吐く野蚕を発見した長谷康貴は、その魅力に憑かれ、バイオ・テクノロジー技術者・有田芳乃の協力で、蚕を繁殖させようとする。事業は成功したように見えたが、意外なパニックがまき起こる…。ミステリータッチの本格SF。第3回小説すばる新人賞受賞作品。
贋作師 「生きすぎた」―短かい言葉を残して老画家が自殺した。そのときから「謎」が奔りはじめ、「真実」が情念の深い淵に沈みはじめる。数億の価値を持つ遺作の修復を受けおった女が見る地獄の構図。代作者の存在、愛する人の死の真相、女へ託された驚愕のメッセージ。そしてラストに待ちうける衝撃。本格サスペンス。
ブルー・ハネムーン 姉小路久美子の職業は結婚詐欺師。美貌と抜群のプロポーションに目がくらんだカモから合法的金を巻き上げていく。やり手の証券マンを手玉に取り次のターゲットをシステムエンジニアに。そこで出会った美青年・関畑が資産家の御曹司だと知ると、古屋敷を借りて大がかりな罠を仕掛け、今度も大成功、のはずだったが・・・。ノりにノっている著者の異色作!
アクアリウム 長谷川正人は遭遇したダイビング仲間を探すため、奥多摩の地底湖に潜った。そこは水没した鍾乳洞で、中は迷路のようだった。自分の位置を見失った正人は死を覚悟するが、突如現れた「彼女」に導かれ、奇跡的に生還した。あれは幻覚だったのか?それとも―正人は「彼女」の姿を求めて再び水底へと向かう。だがそこで見たものは・・・。新感覚のサスペンス・ファンタジー。
神鳥―イビス 夭逝した明治の日本画家・河野珠枝の「朱鷺飛来図」。死の直前に描かれたこの幻想画の、妖しい魅力に魅せられた女性イラストレーターとバイオレンス作家の男女のコンビ。画に隠された謎を探りだそうと珠枝の足跡を追って佐渡から奥多摩へ。そしてふたりが山中で遭遇したのは時空を超えた異形の恐怖世界だった。異色のホラー長編小説。
聖域 関わった者たちを破滅へ導くという未完の原稿「聖域」。一人の文芸編集者が偶然見つけるが、得体の知れない魅力を秘めた世界に引きずりこまれる。この小説を完成させようと、失踪した女流作家・水名川泉の行方を捜し求めるその男は、「聖域」の舞台である東北へ辿りつく。長編サスペンス。
愛逢い月 甘く切ない恋の至福のときは短くて、頂点を極めたあとには、ただ、執着と妄想に満ちた永い時間が続くだけ・・・。かつての恋人と共に、死者の世界を永遠にさまよう甘美な地獄を幻想的な筆致で描く「38階の黄泉の国」。出ていった男を待ち暮らす寂しい女の危うい心理を追う「ピジョン・ブラット」など、恐怖とサスペンスとミステリーを描く愛の終わりの物語全6編。
夏の災厄 東京郊外のニュータウンに突如発生した奇病は、日本脳炎と診断された。撲滅されたはずの伝染病が今頃なぜ?感染防止と原因究明に奔走する市の保険センター職員たちを悩ます硬直した行政システム、露呈する現代生活の脆さ。その間も、ウイルスは町を蝕み続ける。世紀末の危機管理を問うパニック小説。
美神解体 整形美容で、新しい顔を手に入れた麗子。だが彼女を待っていたのは、以前にもまして哀しと虚しさに満たされた日々だった。そんなある日の彼女は、人気商業デザイナー・平田一向に出会う。不思議な翳りと苦悩を身に纏う平田に、麗子は強く惹かれていく。だが、八ヶ岳にある平田の山荘を訪れた彼女が、その地下室で見たものとは・・・。激しくいとおしい想い。病める愛のかたちを鮮烈に描く、サイコ・ホラー。
死神 市の福祉事務所に勤めるケースワーカーの仕事はひと筋縄ではいかない。難病、家庭問題、労働意欲の喪失、そして犯罪・・・社会の基準からはみだした「弱者」にとって最良の道とは何なのか。日々模索するワーカーたちの奮闘と遭遇する事件を通して、現代社会が抱える暗がりと人間本来の強かさを描ききる連作集。
カノン 学生時代の恋人の自殺する瞬間迄弾いていたバッハのカノン。そのテープを手にした夜から、音楽教師・瑞穂の周りで奇怪な事件がくり返し起こり、日常生活が軋み始める。失われた二十年の歳月を超えて託された彼の死のメッセージとは?幻の旋律は瑞穂を何処へ導くのか。「音」が紡ぎ出す異色ホラー長篇。
ゴサインタン 農家の跡取り息子・結木輝和のもとにネパール人女性が嫁いで来た。そこから彼の人生は転落の一途を辿り始める。しかし、神の山ゴサインタンの懐に抱かれたとき、彼の魂は癒され、奇跡のように再生される―。現代人の満たされぬ想いと、漠とした不安を救済する新しいエンターテインメントの世界。第10回山本周五郎賞受賞作。
女たちのジハード 中堅保険会社に勤める5人のOL。条件の良い結婚に策略を巡らす美人のリサ。 家事能力ゼロで結婚に失敗する紀子。有能でありながら会社を辞めざるをえなくなったみどり。自分の城を持つことに邁進するいきおくれの康子。得意な英語で自立をめざす沙織。男性優位社会の中で、踏まれても虐げられても逞しく人生を切り開いて行こうとする女達。それぞれの選択と闘いを描いている。第117回直木賞受賞作。
ハルモニア 脳に障害をもつ由希が奏でる超人的チェロの調べ。指導を頼まれ、施設を訪れた東野はその才能に圧倒される。名演奏を自在に再現してみせる由希に足りないもの、それは「自分の音」だった。彼女の音に魂を吹き込もうとする東野の周りで相次ぐ不可解な事件。<天上の音楽>にすべてを捧げる二人の行着く果ては・・・。
斎藤家の核弾頭 われわれは、日本に宣戦布告する!!そもそも「特A級市民」というエリート中のエリートだった私が、なぜ政府より、理不尽な転居命令を受け続けなければならないんだ!もうこうなったら…。ついに爆発してしまった斎藤総一郎、心の叫び。2075年、「国家主義カースト制度」により、高度に管理された、ニッポン。住民たちと核爆弾を作りあげ、祖国と対決する斎藤家の明日は、何処に。
弥勒 ヒマラヤの小国・パスキムは、独自の仏教美術に彩られた美しい王国だ。新聞社社員・永岡英彰は、政変で国交を断絶したパスキムに単身で潜入を試みるが、そこで目にしたものは虐殺された僧侶たちの姿だった。そして永岡も革命軍に捕らわれ、想像を絶する生活が始まった。救いとは何かを問う渾身の超大作。



新津きよみ

 題    名             あ ら す じ (カバーより)
女友達 29歳独身、一人暮らしで特定の恋人は無し。満たされぬ毎日を送っていた千鶴は、ふとしたきっかけから隣人・亮子と知り合った。同い年だが自分より容姿も収入も劣っている亮子との友情に、屈折した安らぎを見出す千鶴。ファッションや持ち物の比較、相手の幸せへの嫉妬、虚栄心を満たすための小さな嘘―女友達の間にはありがちな些細な出来事が積み重なった時、ふたりの間に生れた惨劇とは?女性心理の奥底を緻密に描く、長編サスペンス・ホラー。
眠れない花嫁 難事件に挑む三上量子と、彼女を手助けするもと夫の私立探偵・四方晴彦の活躍を描く新感覚のサイコミステリーの第一作『浅い夢の記憶』を併録。―わたし眠るのが恐いんです。結婚を目前に控えた市川倫子と名乗る女が、量子のカウンセリングルームを訪れた。幸せの最中にある彼女がなぜ悪夢を。量子が倫子の夢を<追見>すると、ある忌わしい記憶が。
婚約者 雪子の憧れの人は、八歳年上で大学生の従兄・賢一。大人になったら賢一と結婚したいと真剣に願っていた雪子だが、賢一は彼女の気持ちに気づかず、同い年の女性・由貴と親しくなっていく。このままでは由貴に賢一を奪われてしまう・・・そう思ったとき、雪子の心の中に生れたものは?少女の無邪気な残酷さと、大人の女のしたたかさを描く、ホラー・サスペンス。
招待客 高谷美由紀は結婚を間近に控えた27歳。彼女には幼い頃、増水した川で溺れかかかっていたところを通りすがりの男子学生に助けられたという過去があった。その話を知った友人たちは、その「命の恩人」を結婚披露パーティに招待するよう美由紀にすすめる。当時の新聞記事を頼りに、恩人・井口貴明の住所を探し出し、招待状を送った美由紀だったが・・・。かつての「恩人」はひそかに豹変していた・・・。サスペンス・ホラー。
愛読者 駆け出しのミステリー作家・仁科美里のもとに、読者からのファンレターが二通届けられた。片方の差出人は、中学を卒業してから音信不通だった友人・柚子。そしてもう一通は、「愛読者」と名乗る謎の男からの不気味な手紙・・・。この二通の手紙をきっかけに、美里の生活は大きく変わって行く。美里に近づいてきた柚子の真意は、そして「愛読者」の正体は?驚愕のラストへ向けて読者を誘う、サスペンス・ホラー。
同姓同名 勤め先が倒産し、故郷に戻った唯木緑は、幼なじみの田中紀之と婚約した。が、結婚式の準備に追われていたある日、出張先の横浜で紀之が、男にからまれてた女性を助けようとして刺殺される。「タナカミドリ」という言葉を残して―。緑は、単身上京し、犯人と逃げた女性の<目撃者>を探すためにビラ配りを始めるが・・・。思いがけない偶然に追いつめられていく女性たちの姿を描く、心理サスペンス。
二重生活 わたしを裏切った男と侮蔑したあの女は絶対に許せない!ふたり同時に復習するには、あの方法しかない・・・男に妻も子供もいると知った愛人の心に燃えたぎった嫉妬と殺意。重婚をテーマに男女の息づまる駆け引きをスリリングに描く多重心理ミステリー。折原一・新津きよみ夫妻合作。
捜さないで 単調な日常と無関心な家族。夫や娘の無神経な態度にキレた倫子は 『捜さないで』と書置きを残し、友人の留守宅マンションで一時の解放感を味わっていた。 ところがその矢先、見知らぬ男が興奮した面持ちで現われた。「捜し出したぞ」この男は何者?が、その一言が、倫子の陥ちた犯罪への序曲だった・・・。日常から逸脱した主婦が見た、人間心理の奥底に潜む狂気とは?
殺意が見える女 似ている――椎名由美は喫茶店で出会った女を見て息を呑んだ。彼女は手にした一枚の紙をじっと見つめていた。その食い入るような視線には、鬼気迫るものがあった。その紙に印刷された「離婚届」の文字。<わたしはいったい、何をしているのだろう>そう思いながらも由美は、彼女を尾行した。やがて一軒の店に入った彼女は包丁を買った(表題作)。女性心理サスペンスの気鋭、初の短篇集。
結婚紹介殺人事件 榊原千亜記の短大時代からの親友・橋本恵美がアパートの自室で全裸死体となって発見された。恵美は結婚紹介所<エルピーライフ>に入会しており、その日も五人目の相手とデートしていたはずであった。千亜記は「恵美がスキャンダラスな女ではないこと」を証明するために、刑事の忠告を無視して、単独で捜査を始めるのだが・・・。幸せな結婚≠夢見る男と女の交錯する愛憎を描く長編ミステリー。
ふたたびの加奈子 五歳になる一人娘の加奈子を交通事故で亡くした桐原容子は、夫の信樹と加奈子の魂≠ニ三人で暮らしていた。容子は食事の時も、外出する時も、いつも加奈子の魂≠ニ一緒だった。だが、そんなある日、加奈子の魂≠ヘ転生の場所を見つけたらしい。妊娠三ヶ月の主婦<野口正美>の身体だ。容子はひたすら正美の出産を心待ちにするのだが・・・。愛する子を失った深い悲しみと、意外な結末が感動を誘うホラーサスペンス長編。
安曇野殺人紀行 結婚を一ヵ月後に控えた藤森岳志は、独身最後の想い出として、悪友とともに山に登ったが、縦走中に転落死してしまう。婚約者の野々村亜衣は、自分がお守りにと首にかけたペンダントが遺体にないことに、不審を抱くが―。一年後、別の遭難場所から、鎖の切れた、あのペンダントが発見された。真相を追う亜衣の身辺で次々と殺人事件が起きる……。長篇旅情ミステリー
イヴの原罪 都内の大邸宅の離れを借りて住みはじめた二人のOL・祥子と美加。しかし美加は不慮の事故で帰らぬ人に。悲しみに暮れる祥子は、美加が新人賞に応募しようと執筆していた小説の原稿を偶然みつけた。「親友の魂を慰めるために・・・」祥子が、自分が書いたと偽って応募したことから、運命の悪戯が始まる。 光文社
同窓生 大学時代の友人たちと、十四年ぶりに集まる事になった史子。近況報告や思い出話をしながら、楽しいひとときを過ごしていた。ところが、誰もが憶えている「鈴木友子」という同級生のことを、史子はどうしても思い出せない。皆に「鈴木さんと一番親しかったのはあなたのはず」と言われ、史子の不安はますます大きくなるが・・・。複雑に絡み合った記憶の底から恐怖が滲み出す、ホラー・サスペンス。 角川書店
危険な恩人 線路に落ちた娘・美希を助けてくれた、行きずりの美青年。堂本良子は、新聞記事がきっかけで、その男性・伊吹渉と再会した。売れない役者だという彼は、危険な魅力に満ちていた。その時、良子と伊吹のいる部屋をじっと見つめている刑事が二人いた──。伊吹は、その後、堂本家にうまく入り込み、美希ともすっかり仲良くなったが……。良家の人妻の、危険な美青年に魅かれていく女心を描ききる。
もう一度住みたい 高橋芙美子は競売物件でマイホームを手に入れた。偶然、先住者も「高橋」であったため、表札はそのまま使うことに。新生活は穏やかにスタートしたが、そんなある日、「ただいま」と見知らぬ男がやって来た。男は先住の高橋家の長男で、七年余り家出をしていたという。男は消えたが、翌日、芙美子は二階で"ガリガリ"と不気味な音がしているのに気が付いた…。幸福な「高橋」家に襲いかかる不幸な「高橋」家の影。戦慄の書き下ろしホラーサスペンス長篇。
血を吸う夫 「夫は吸血鬼かもしれない」―マタニティ雑誌「プレマム」編集部の布施乃理子あてに不審な手紙が届いた。一方、同じ頃、「プレマム」の元モデルが絞殺され、さらに「プレマム」の読者を巻き込む児童誘拐事件が発生する。不審な手紙と二つの事件には、複雑な人間関係と恐るべき事実が隠されていた…。「現代」の吸血鬼をテーマに、人間の"血"と"愛"を描く心理サスペンスの力作長篇。
隣の女 ステンドグラス作家・羽田野祥子は、妹を持て遊び、自殺に追い込んだ男・森嶋吾郎を殺そうと刃物を手に待ち伏せをしていた。そんな彼女の前に、アイと名乗る謎の人物が現れた。「ぼくが、かわりに殺してあげましょうか」……一週間後、森嶋は自宅近くの公園で頭を割られ、死体となって発見された! 次の日、祥子は隣に住む主婦・宮脇まゆみに、「わたしにも殺し屋を紹介してほしい」と頼まれるが……。殺意を抱く二人の女性心理を描く長篇サスペンス。
アルペジオ
女の拳銃 彼のクラリネット    
夫の陰湿な暴力に耐え切れず由布子は家を出た。偶然に手に入れた拳銃が御守りだった。スミス&ウエッソン―かつて愛した男の憧れの拳銃。逃避行にはジムのインストラクター逸美が同行した。彼女にも「殺してやりたいほど憎い男」がいた。出会うはずのなかった女二人と男の人生が絡みあう愛のミステリー。 講談社



乃南アサ

  題    名            あ ら す じ (カバーより) 出版社
幸福な朝食 なぜ忘れていたのだろう。あの夏から、私は妊娠しているのだ。そう、何年も、何年も・・・。乃南アサのデビュー作 新潮社
今夜もベルが鳴る 友人主催のパーティで、ゆかりは岩谷と知り合った。落ち着いた物腰に、ゆかりはひどく惹かれた。二日後、岩谷から電話がかかり、ゆかりの中で恋の炎が燃え上がった。だが、それが恐怖の始まりだった。電話は毎夜かかってきたが、話すにつれて彼女の心に恐ろしい疑惑が頭をもたげ始める。岩谷とは何者なのか!?サスペンス。 祥伝社
6月19日の花嫁 わたしは誰―?6月12日の交通事故で記憶を失った千尋。思い出したのは、一週間後の19日が自分の結婚式ということだけだ。相手は一体、誰なのか。自分探し≠始めた千尋の前に、次々と明かされる予想外の事実。過去のジグソー・パズルは埋められるのか・・・。「結婚」に揺れる女性心理を繊細に描き、異色の結末まで一気に読ませる、ロマンチィック・サスペンス。 新潮社
微笑みがえし <白いパッキングを取り除き観葉植物が顔を出した瞬間、彼女の手は鮮血で染まった。箱の下に、鋭くとがったガラスの破片がぎっしりと詰まっていた>タレントの阿季子は結婚を機に芸能界を引退、幸せに暮らしていた。が、テレビ復帰が決まった直後から、不気味な嫌がらせが始まった。無言電話、尾行、そして悪意の贈り物・・・。いったい誰が、なんのために!? 祥伝社
ヴァンサンカンまでに 男なんかに左右されずに、自分の力で幸せになってみせる。密かに決意した翠は、自分の中の「女」を使い分け、上司との不倫も同期との恋愛もうまくやっていけるつもりだった。でも、何かが違う・・・翠は日増しに苛立ちをつのらせ、感情のバランスを欠いてゆく。都会をしたたかに行き抜こうとする女の姿を描いた長編小説。 幻冬社
高校二年生の麻里子のカバンに、知らぬ間に一つの鍵が押しこめられた―。近所で連続して起きる通り魔事件は、ついに殺人にまでエスカレート。父も母もいなくなった障害を持つ女子高生と、その面倒を見なければいけなくなった兄や姉との心の通い合いをも見事に描いた、泣けるミステリー。 講談社
トゥインクル・ボーイ 天使のような笑顔を浮かべると、出会う者はみな思わず「可愛い!」と声を上げてしまう。大人たちを自分の魅力のとりこにし、望むものを手にしてきた小学1年生の少年、拓馬には、ある秘密の「趣味」があった。場所はたそがれの競馬場―。純真、残酷、妖艶、粗暴、嘘言・・・。正常と異常の狭間に立つ幼児たちの危うい心理を描き出した、現代の「恐るべき子どもたち」ともいうべき7編。 新潮社
紫蘭の花嫁 「逃げなきゃ、あいつから逃げなきゃ!」花屋で働く三田村夏季の前へ突然現れた謎の影。その瞬間から彼女の逃亡生活が始まった。一方、神奈川県下で連続婦女暴行殺人事件が発生。史上稀に見る凶悪犯罪を前に捜査陣は翻弄される。苦悩する刑事部長・小田垣と彼に近づく美女・摩衣子。そして息を呑むクライマックス! 光文社
5年目の魔女 ルルル、ルルル・・・。三回鳴ってから切れる電話は、五年前私を陥れた魔女≠フ復活の合図なのか?忌わしい過去に決着をつけようと動き出した景子の周りに、あの女の影が現れては消える。あの女が幸せになっているはずがない、それは景子の心からの叫びだったが・・・。女性心理の暗黒に鋭く切り込んだ、サスペンス長編。 幻冬社
水の中のふたつの月 「忙しい」が口癖のOL亜理子は、幼なじみの恵美から十数年ぶりに電話をもらった梨紗も誘ってかつての仲良し三人組で会おうと言う。突然の電話に不審を抱きつつ彼女の心は夢のようなあの夏の日に遡っていった。心の奥底へと封印した、妖しい記憶の中へと―。ありふれた生活、時おり見せる特異な性癖。ありふれた彼女たちの表情の裏に見え隠れする、共通の秘密とは?深層に横たわる恐ろしい原体験が日常に染み出す様を描いた、サイコ・サスペンス。 角川書店
パラダイス・サーティー
(上・下)
三十歳へのカウントダウンが始まった栗子と菜摘。二人は中学からの親友だが、結婚を夢見るOLとレズビアンのバー経営者と全く違う人生を歩んでいる。ある日、菜摘を介して栗子の前に魅力的な青年実業家が現れ、同じ頃、菜摘も人生を共に歩めそうな女性と出会った。それぞれ自分なりの輝かしい三十代を迎えるかに思えたが・・・。深く傷つきながらも自分にとっての幸せを模索し、少しずつしなやかな逞しさを身につけゆく。揺れる心理を緻密に描く、感動のサスペンス長編。 幻冬社
家族趣味 人生は楽しく、充実していなければ。そこそこ出世した旦那に、健康な息子。私の仕事も順調だ。そして、恋人も・・・。次々に年下の男性との不倫関係を重ねてゆく、奔放な主人公を待ち構えていた運命は?表題作をはじめ、宝石にとり憑かれた女の破滅的生活を追う『魅惑の輝き』、少年の底知れぬ不可解さを描いた『デジ・ボウイ』など、日常に潜む狂気を抉った短編5編。 新潮社
暗鬼 親子四代、総勢九人という現代では珍しい大家族に嫁いだ法子。まだ他人の法子にとって、初めて知る大家族とは、暖かくお互いが理解し助け合う最高の絆であった。だが、ふとしたきっかけから、法子は家庭の表面的な優しさの奥に潜む奇妙な人間関係、謎の多い行動に気付き、ひとり調査を始めた―。本当の家族になりたい≠ニ切に願う法子によって、次々と解き明かされてゆく真実の家族の姿とは・・・!?家の呪縛、血の絆まで描ききる本格サイコ・ミステリー。 角川書店
団欒 なぜ自分にこの親、この兄弟姉妹なのか。いつもやたらとベタベタしているのに、実はバラバラだったりする。「家族」って、よくよく考えてみれば、ヘンなものだと思いませんか?この本には、なかでもきわめつけのヘンな家族が登場します。深夜、息子がいきなり彼女の死体を連れて帰ってきたり、夫婦の寝室に「ママ」がいたり・・・。 新潮社
再生の朝 十月七日午後五時三十分。荻行きの夜行高速バスが品川のバスターミナルを出発した。乗客乗務員は十二人。約十四時間で目的地到着の予定だったのだが・・・。深夜に乗務員が殺害され、バスは殺人者とともに、何処ともしれぬ闇の中に放り出される。台風接近で風雨も激しさを増し―。それぞれの人生を背負って乗り合わせた登場人物たちの多視点から恐怖の一夜を描く、異色のサスペンス。 新潮社
風紋(上・下) 一般のミステリーでは脇役に押しやられがちな犯罪者、被害者双方の近親、関係者のドラマが浮き彫りにされていく。物語のいっぽうの主役、被害者高浜則子の次女真裕子。一流企業の営業部長だが家庭を省みない父、大学を二浪して家庭に造反する長女に対し、彼女はごく健全な女子高生だが、健全であるがゆえに、母の死から受けた衝撃は深刻なものだった。彼女のそうした挫折ぶりとそこから再生していく姿が物語の主軸となる。もういっぽうの主役をつとめる加害者の妻・香織は孤立無援を強いられ、運命に翻弄されるまま、ついには淪落の途をたどっていく。私のおすすめの一冊。 双葉社
死んでも忘れない 夫婦と、息子ひとりの3人家族。どこにでもある、新興住宅地の平穏で幸福な一家だった。妻が妊娠したことで、新たなる喜びに一家は包まれる・・・はずだった。しかし、ある朝、夫が巻き込まれた小さな事件が思いもよらぬ展開を見せ、彼らの運命を大きく狂わせていく―。次第に追い詰められ、崩壊に向かう家族に、果たして救いはあるのか?現代の不安を鋭くえぐった心理サスペンス。私のおすすめの一冊。 新潮社
ライン 一本の線だけで結ばれている、宙に浮かんだような若者たち。深夜のパソコン通信に嵌まる小田切薫の周りで次々殺人事件が起こる。それぞれの道を歩む高校の同級生たちは、友情と嫉妬が複雑に絡み合い・・・。オンライン社会の若者の心の揺れを描く、ミステリー。 講談社
凍える牙 深夜のファミリーレストランで突如、 男の身体が炎上した! 遺体には獣の噛み傷が残されており、 警視庁機動捜査隊の音道貴子は相棒の中年デカ滝沢と捜査にあたる。 やがて、同じ獣による殺人事件が続発。この異常な事件を引き起こしている怨念は何なのか?そして、野獣との対決の時が・・・女性刑事の孤独な闘い。直木賞受賞作。 新潮社
殺意・鬼哭 「殺意」 は加害者 ・真垣徹の独白で綴られている。内なる大輪の花に魅せられ、彼は 「殺人者」 になる。「鬼哭」は被害者 ・ 的場直弘の独白で綴られている。それは刺されてから死ぬまでの三分間の意識の流れ。「おそらくミステリー史上、かつてない試みであろう。……エンターテイメントの域をはるかに越え出た力業であると評された異色作。 双葉社
花盗人 「あなたが私にくれたものは、あの桜の小枝だけ。あなたが盗っていったものは、私のすべて」―。自立できない夫との生活に疲れた女は逃げ場を求めた。しかしそれが彼女の「脱線」の始まりだった・・・。表題作のほか、怖くて意外な結末が詰まった全10編。 新潮社
私は、どこへ行けばいいんだろう。高校三年生の麻里子は、進学や友人関係など変わりゆく周囲にとまどう。そんな彼女のまわりで起きた毒入りジュース事件。事件に関わる少年が自分と同じ聴覚障害を持つと知り麻里子は・・・。思春期の少女の微妙な心理模様と家族の愛情を描いた『鍵』に続く青春ミステリー。 講談社
結婚詐欺師(上・下) 小滝橋警察署に勤務する“阿久津”は、ホステスから結婚を約束した男と急に連絡がとれなくなったと相談を受ける。その男“橋口”はいろいろな男になりすまし言葉巧みに結婚をちらつかせて同時に何人もの女性からお金をだましとる、結婚詐欺師だった。騙す男、貢ぐ女、追う刑事の息詰まる攻防を緻密な筆致で描き切ったミステリー。 幻冬社
来なけりゃいいのに 退屈なワープロ・オペレーターの仕事から華麗なアパレル業界へ転職することに成功した響子。親友みどりの、仄かな嫉妬の入り混じる祝福に、彼女は優越感に浸った。時代を先取りし、流行の最先端を歩んでいく業界―だは実際の仕事は、そんな響子の思惑とはまるっきり違った単調なものだった。ボタンの付け替え、フェルトの切り取り・・・。そんなある日、その職場に何故か、突然みどりが訪ねて来て・・・「熱帯魚」より。様々な職場で、運命≠ノ弄ばれる女性たち。哀しき現実と向かい合い、追いつめられた彼女たちは、ついに・・・。揺れる女性心理を巧みに描いた珠玉のサイコ・サスペンス。 祥伝社
氷雨心中 山形の村から神奈川の酒屋に出稼ぎに来た敬吾。そこでは若くして死んだ敬吾の祖父の親友であった老人が杜氏をしていた。懸命に働く敬吾の姿が、老人に自分の許嫁と親友に起きた悲劇を蘇らせ、米が発酵する蔵で惨劇が繰り返される―。表題作のほか、提灯、線香、能面なでど職人の世界を舞台に、心の闇黒を浮き彫りにする、心理ミステリー。 幻冬社
悪魔の羽 マニラから日本に来て銀行員に嫁ぎ、二児の母になったマイらは、新潟に越して初めて雪を体験する。 灰色の空から降り込める「悪魔の羽根」は、 快活だったマイラをやがて蝕んで、家族の歯車は狂ってゆく―。表題作ほか、梅雨、 台風、 残暑など日本の豊かな四季が人間の心を追いつめ、 狂喜に駆り立てるさまを綴る心理サスペンス。「悪魔の羽根」の他、6編を収めた短編集。 幻冬社
夜離れ(よがれ) 結婚を控えた摩美と敦行は、突然失語症になった摩美の親友朋子を気遣い、熱心に世話を焼いた。そのかいあってか、朋子は「劇的」に回復する。だが、挙式当日、祝辞に立った朋子の口から出たのは・・・(「祝辞」)。
「私だけ」の幸せに目が眩んだ女たちの、嫉妬、軽蔑、焦燥、憎悪が渦巻く心の内を残酷なまでに鮮やかにえぐり出す、傑作心理サスペンス。
幻冬舎
冷たい誘惑 「私は拳銃を構える。恐怖にひきつった顔を思い描くだけで、胸のもやもやが晴れていく」―。久しぶりの同窓会で、歌舞伎町に流れ、家出少女から受け取った包みの中身はなんと拳銃。なぜか主婦は警察に届けない。日常に倦んだ市井の人々を狂気に変えていくコルトの魔力。巧みな構成で魅了する連作短篇集。 文藝春秋
不発弾 かくし味・夜明け前の道・夕立・福の神・不発弾・幽霊
デパート勤務の的場智明は、地味な売り場での仕事に耐える日々を過ごしていた。そんな折、息子や娘の、“秘密”を妻までが一緒になって隠していたことに気づく。たまりにたまった憂さをはらすために彼がとった行動とは……。表題作など、現代人の爆発寸前の心境を的確に捉え、見事な筆致で描く、秀逸短編集。
講談社


坂東眞砂子

 題    名         あ ら す じ (カバーより)   出版社
死国 禁断の逆打ち≠ナ死者が甦る!?四国を舞台にした、傑作伝奇ロマン。 マガジンハウス
狗神 過去の辛い思い出に縛られた美希は、四十路の今日まで恋も人生も諦め、高知の山里で和紙を漉く日々を送ってきた。そして美希の一族は村人から「狗神筋」と忌み嫌われながらも、平穏な日々が続いてゆくはずだった。そんな時、一陣の風の様に現れた青年・晃。お互いの心の中に同じ孤独を見出し惹かれ合った二人が結ばれた時、「血」の悲劇が幕をあける!不気味な胎動を始める狗神。村人を襲う漆黒の闇と悪夢。伝奇小説。 角川書店
蛇鏡 婚約者の広樹と共に帰郷した玲は、かつて姉の綾が結婚を目前にして首を吊った蔵で、珍しい蛇の浮き彫りのある鏡を見つける。その日を境に、玲の心の中で何かが変わっていく。そして、様々な人間の思惑が絡み合う中、「みぃさんの祭り」がやってくる・・・。奈良を舞台に人の心の移ろいを描きだす伝奇長篇。 文藝春秋
めぐみは平凡な主婦として穏やかな日々を送っていた。ある夜、夫が古い石の器を持って帰宅。富士川のほとりで拾ったというその器には「常世蟲」と彫られていた。その時から彼女は奇怪な夢や超常現象に悩まされ始める。そしてある日、夫の体から巨大な緑色の虫が這い出るのを目撃してしまった!深まる謎は、古代の俗信仰「常世神」へと遡ってゆく・・・。日本人の心の底に眠る恐怖を鮮烈なイメージで呼び起こす。 角川書店
桃色浄土 大正中期、四国の隔絶された漁村に異国船が現れた。目的は高価な桃色珊瑚。乱獲の結果、珊瑚は採れなくなって久しかったが、イタリア人エンゾはあきらめずに海に潜り続ける。そんな彼に惹かれていく海女のりんを幼なじみの健士郎は複雑な気持ちで見つめていた。やがて採れないはずの珊瑚が発見されたことから、欲望にとり憑かれた若者たちが暴走し始め・・・。伝奇小説。 新潮社
桜雨 東京の小出出版に勤める額田彩子は、幻想絵画集の出版準備をすすめる中、一枚の絵に出会った。闇の中を渦巻いて立ちのぼる朱色の炎、火の粉と共に乱舞する桜の花びら、描かれたふたりの女―。絵に魅せられ、その謎を追う彩子の前に、当時を知るひとりの老女が現れる。戦前の芸術村・池袋モンパルナスで生きた放縦な画家・西遊と、彼を愛した早夜と美紗江の壮絶な日々。島清恋愛文学賞受賞作。 集英社
屍の声 「惚けてしまったおばあちゃんは生ける屍や。正気のおばあちゃんは死にたがっている」そう信じた少女は溺れる祖母を見殺しにした。そして通夜の席で一瞬、確かに祖母は蘇った―表題作「屍の」のほか、5編の恐怖短編。因習としがらみの中で生きる人間たちの、心の闇に巣くう情念の呪縛。濃密な風土を背景に描く、恐怖の原型とは。記憶の底に沈む畏敬の感情を呼び起こす本格ホラー小説集。 集英社
山妣 (上下) 明治末期、文明開化の波も遠い越後の山里。小正月と山神への奉納芝居の準備で活気づく村に、芝居指南のため、東京から旅芸人が招かれる。不毛の肉体を持て余す美貌の役者・涼之助と、雪に閉ざされた村の暮らしに飽いている地主の家の嫁・てる。二人の密通が序曲となり、悲劇の幕が開いた―人間の業が生みだす壮絶な運命を未曾有の濃密さで描き、伝奇小説の枠を破った直木賞受賞作。 新潮社



宮部みゆき

題    名          あ ら す じ (カバーより) 出版社
パーフェクト・ブルー 高校野球界のスーパースターが全身にガソリンをかけられ、焼き殺されるというショッキングな事件が起こった。俺―元警察犬のマサは、現在の飼い主、蓮見探偵事務所の調査員、加代子と共に落ちこぼれの少年、諸岡進也を探し当て、自宅に連れ帰る途中、その現場に遭遇する。犬の一人称という斬新なスタイルで、社会的なテーマを描く、爽快な読後感の長編デビュー作。 東京創元社
魔術はささやく それぞれは社会面のありふれた記事だった。一人めはマンションの屋上から飛び込んだ。二人めは地下鉄に飛び込んだ。そして三人めはタクシーの前に。何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた・・・。だが、逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。日本推理サスペンス大賞受賞作。 新潮社
我らが隣人の犯罪 僕は三田村誠。中学一年。父と母そして妹の智子の四人家族だ。僕たちは念願のタウン・ハウスに引越したのだが、隣家の女性が室内で飼っているスピッツ・ミリーの鳴き声に終日悩まされることになった。僕と智子は、家によく遊びに来る毅彦おじさんと組み、ミリーを誘拐≠オたのだが・・・。表題作以下五篇収録。 文藝春秋
東京殺人暮色
(東京下町殺人暮色)
八木沢順(13歳)が父・道雄と二人だけの生活をはじめたのは、ウォーター・フロントとして注目を集めている隅田川と荒川にはさまれた土地だった。道雄は警視庁捜査一課の刑事。そのころ町内ではある家でひと殺しがあった≠ニいう噂で持ち切りだった。はたして、荒川でバラバラ死体の一部が発見され・・・!?さわやかな筆致で抉る現代社会の奇怪な深淵!サスペンスと、ほのぼのとした情感とを見事に融合させた新感覚の本格推理。 光文社
レベル7 「レベル7まで行ったら、戻れない」謎の言葉を残して失踪した少女。腕に「Level7」と書き込まれ、見知らぬマンションで目覚めた男女。レベル7とは何か。少女はどこにいるのか。そして目覚めた男女は誰なのか―謎が謎を呼び、衝撃の結末へと到る、サスペンス。 新潮社
龍は眠る 「週間アロー」記者高坂昭吾は、台風の夜、子供がマンホールに落ちて死亡する事件に遭遇し、その時知り合った高校生稲村慎司から不思議な話を聞く。人の心や残存する物体の記憶を読みとれるこの少年は超常能力者なのか?迷う高坂の前に慎司の従兄と称する直也が現れ、すべてトリックだと謎解きをして見せるが・・・彼もまた? 出版芸術社
本所深川ふしぎ草紙 本所七不思議≠題材にして、江戸の下町に住む人々の人情と温もりを軽妙なタッチで描く著者初の連作時代小説集! 新人物
往来社
返事はいらない 失恋からコンピュータ犯罪の片棒を担ぐにいたる絶妙な女性心理の動きを描く表題作。『火車』の原型ともいえる「裏切らないで」。切なくあたたかい「ドルシネアにようこそ」など6編を収録。日々の生活と幻想が交錯する東京。街と人の姿を鮮やかに描き、爽やかでハートウォーミングな読後感を残す。 新潮社
かまいたち 夜な夜な出没して江戸市中を騒がす正体不明の辻斬りかまいたち=B人は斬っても懐中は狙わないだけに人々の恐怖はいよいよ募っていた。そんなある晩、町医者の娘おようは辻斬りの現場を目撃してしまう・・・。サスペンス色の強い表題作はじめ、純朴な夫婦に芽生えた欲望を描く「師走の客」、超能力をテーマにした「迷い鳩」「騒ぐ刀」を収録。時代小説短編集。 新潮社
今夜は眠れない 放浪の相場師と呼ばれた男が母さんに五億円を遺贈して家族は崩壊を始めた―サッカー少年の僕は、親友の島崎と謎の解明に乗り出すが。 中央公論社
スナーク狩り 関沼慶子は自分を捨てた男、国分慎介への復讐のため、手にした散弾銃に鉛を埋め、彼の結婚式に乱入するが・・・。国分の妹、範子に出会い想いを断念するが、自宅に戻った彼女の前にはフィッシャーマンズ・クラブで働く、「お父さん」こと織口邦男が・・・・・・同じフィッシャーマンズ・クラブで働く、唯一織口の過去を知る佐倉修治は、範子と供に彼を追う。 光文社
火車 「あたし、ただ幸せになりたかっただけなんだけど・・・」年間貸出額60兆円、個人の借金比率世界一のクレジット・カード王国日本。その結果の100万人とも言う破産予備軍。襲いかかる美味な“情報”に破れ、富の川を流されてゆく“生きている幽霊”の素顔!
休職中の刑事、本間は遠縁の男性に頼まれ、失踪した婚約者の行方を捜すことに。だが女性の意外な正体が次第に明らかとなり・・・。
双葉社
長い長い殺人

森元隆一という人物が引き逃げに合い、わたしのあるじは現場に向かった。わたしはあるじの40歳の誕生日に、あるじの奥さんと娘の涼子さんから送られた財布。あたしはいつだって、貧乏くじばっか引いてきた。でも、最初はあたしだって、きれいだったのよ!あたしを拾った人はあたしを、「ウチデノコヅチ」って呼んだわ。一つの事件を、各章ごとにそれぞれ、刑事の財布、強請屋の財布といった視点で描いた作品

光文社
とり残されて 勤め先の小学校で、ヒロインは「あそぼ」とささやく子供の幻に出会う。そんな折、校内プールに女性の死体が・・・。その謎にせまる表題作ほか、夢の「場所」捜しから始まる内面の旅を描いて名作の聞こえ高い「たった一人」など六編。巧みな伏線、鮮やかな舞台設定。 文藝春秋
鳩笛草 他人の心を読むことのできる女性刑事・本田貴子は、その能力ゆえにさまざまな試練に直面し、刑事としての自分の資質を疑ってゆく・・・。(鳩笛草) 高校生の妹を殺害された兄に代わって報復の協力を申し出た青木淳子。彼女は、人や物を念じただけで発火させてしまう能力を持っていた・・・!(燔祭) 超能力を持つ3人の女性をめぐる3つの物語。 光文社
震える岩
「霊験お初捕物控」
深川三間町の十間長屋で死人憑きの騒ぎが起こったのは、享和二年(1802)の六月末のころのことだった。死人が生き返って起きあがり、居合わせた人を驚かせたのである。死人の名は吉次。そしてお初は奉行の言いつけで同行させるようになった右京之介とともに歩いていたとき、樽の中で死んでいる子を見る。この殺人と、死人憑きの関係は?そしてそれは、さらなる大きな事件の一端にすぎなかった。 新人物
往来社
ステップファザー
・ステップ
最初はうまい話だと思った。このところ商売が不振続きだったから。俺が盗みに入ろうとした時、雷が落ち、俺はそのまま俺も落ちた…気付いた時、俺は双子に介抱されていて、こいつらは俺を脅しにかかった。つまり、俺を警察に引き立てないかわり、俺に父親になれというのだ。何と、こいつらの両親は、同時に、別々の人と駆け落ちした!? 講談社
地下街の雨 麻子は彼から目を離すことができなかった。見間違いではない。錯覚でもない。たしかにあの柄のネクタイ…改札を抜けて、彼女は小走りにやってきた。「あの女」はほとんど変わっていなかった。女も麻子を覚えていた。「地下街の雨) 都会の片隅の孤独。それでも、希望の季節はきっと来る!愛と幻想の7編。 集英社
淋しい狩人 通勤電車の網棚から由紀子がふと手にとった一冊の文庫本。頁をめくると、中には一枚の名刺が挟みこまれていた・・・。本をきっかけに、普通のOLが垣間見た男女関係のもつれを描く「歪んだ鏡」。遺された本から父親の意外な素顔が浮かび上がる「黙って逝った」。そのほか表題作を含め、東京下町の古書店を舞台に本にからむ人間模様を描く連作ミステリー。 新潮社
蒲生邸事件 予備校受験のために上京した受験生・孝史は、二月二十六日未明、ホテル火災に見舞われた。間一髪で、時間旅行の能力を持つ男に救助されたが、そこはなんと昭和十一年。雪降りしきる帝都・東京では、いままさに二・二六事件が起きようとしていた―。大胆な着想で挑んだ著者会心の日本SF大賞受賞長篇。
毎日新聞社
夢にも思わない 秋の夜に、虫聞きの会。それは二十年近く、毎年行われてきたものだった。憧れのクドウさんが行くというのを聞き、僕は島崎を誘ってみたが、島崎の奴、そっけない。だから、僕はひとりで出かけることにした。そこで、僕はききたくないことを聞く。死んでいる?中学生の女の子。ただひとつのことしか考えられなかった。クドウさんか? 中央公論社
天狗風
「霊験お初捕物控ニ」
嫁入り前の若い娘が次々と神隠しにあった。忽然と姿を消した娘たちの謎を追うお初と右京之介。不思議な煙に巻かれて消えた娘たちに何が起こったのか? 「震える岩」に続く霊験お初捕物控シリーズ第2弾。 新人物
往来社
初ものがたり 本所深川をあずかる岡っ引きの茂七親分が、下っ引きの糸吉、権三とともに、江戸の下町で起こる摩訶不思議な事件に立ち向かう。茂七に事件解決のヒントを与える謎の稲荷寿司屋や、超能力をもった拝み屋の少年など、個性あふれる登場人物たちと織りなす人情物話の数々。「鰹」「白魚」「柿」「桜」など、江戸の季節を彩る「初もの」を題材に、ときに哀しく、ときに妖しく描く時代小説。 PHP研究所
クロスファイア
(上下)
深夜の廃工場。三人の若者によって、男が水槽に投げ込まれようとしていた。それを目撃したOL・青木淳子は、念を込めて掌から火炎を放ち、瞬時に若者二人を焼殺した。彼女は念力放火能力を隠し持つ超能力者だった!若者たちに連れ去られた恋人の救出を瀕死の被害者に頼まれた淳子は、逃走した残る一人の行方を探すが・・・。警視庁放火捜査班の刑事・石津ちか子は、不可解な焼殺の手口から、ある未解決事件との類似に気付く。東京・荒川署の牧原刑事とともに捜査を開始したちか子の前に、新たな火炎焼殺事件が・・・! 光文社
理由 家が、家族が、そして人がだんだん壊れていく。「一家四人殺し」はなぜ起こったか。・・・事件はなぜ起こったのか。殺されたのは「誰」で、「誰」が殺人者であったのか。そして、事件の前には何があり、後には何が残ったのか。 毎日新聞社
幻色江戸ごよみ 盆市で大工が拾った迷子の男の子。迷子札を頼りに家を訪ねると、父親は火事ですでに亡く、そこにいた子は母と共に行方知れずだが、迷子の子とは違うという・・・(まひごのしるべ)。不器量で大女のお進が、評判の美男子に見そめられた、その理由とは、あらお恐ろしや・・・(器量のぞみ)。下町の人情と怪異を四季折々にたどる12編。切なく、心暖まる、ミヤベ・ワールドの新境地。 新潮社
運命の剣のきばしら 中村隆資・鳴海丈・火坂雅志・宮部みゆき・安部龍太郎・宮本昌孝・東郷隆の7人の作家が、それぞれの持ち味を生かし7つの物語を書き継いた空前のリレー小説!鎌倉末期、備前長船で生まれた剛刀「のきばしら」は、将軍斬殺という嘉吉の乱を引き起こし、切腹を迫られた茶人・利休の灯籠を斬る。やがて太平の江戸時代、質屋夫婦の命を救った「のきばしら」は幕末の"三人斬り"岡田以蔵の手に渡り維新動乱のなかで女剣士の仇を討って、ついに終戦前夜の皇居に現れる…。 PHP研究所
模倣犯(上・下) 公園のゴミ箱から発見された女性の右腕。それは「人間狩り」という快楽に憑かれた犯人からの宣戦布告だった。誰もかれも、殺された側のことなんか、これっぽっちも考えてくれやしない・・・。(上)
炎上しながら谷底へ落ちて行く一台の車。事故死した男の自宅には、数々の「殺人の記録」が。事件を操る真犯人の正体は…!?嘘をつくのは易しい。難しいのは、ついた嘘を覚えておくことだ。(下)
あまりにも切ない結末!魂を抉る驚愕と感動の三千五百五十一枚。直木賞受賞作『理由』以来三年ぶりの現代ミステリー。
小学館
心とろかすような
マサの事件簿
あの諸岡進也が、こともあろうに俺の糸ちゃんと朝帰りをやらかしたのだ!いつまでたっても帰らない二人が、あろうことかげっそりした表情で、怪しげなホテルから出てきたのである!!―お馴染み用心犬マサの目を通して描く五つの事件。さりげなくも心温まるやりとりの中に人生のほろ苦さを滲ませ、読む者をたちどころに宮部ワールドへと誘っていく名人芸を、とくとご堪能あれ。、「心とろかすような」「てのひらの森の下で」「白い騎士は歌う」「マサ、留守番する」「マサの弁明」の5作 東京創元社
R.P.G ネット上の擬似家族の「お父さん」が刺殺された。その 3 日前に絞殺された女性と遺留品が共通している。合同捜査の過程で, 「模倣犯」の武上刑事と「クロスファイア」の石津刑事が再会し、2つの事件の謎に迫る。家族の絆とは、 癒しなのか? 呪縛なのか?舞台劇のように、 時間と空間を限定した長編現代ミステリー 集英社
人質カノン 「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具、ガラガラを落として去った。事件の背後に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作「人質カノン」、タクシーの女性ドライバーが遠大な殺人計画を語る「十年計画」、他に「過去のない手帳」「八月の雪」「過ぎたこと」「生者の特権」「漏れる心」など、街の片隅、日常に潜むよりすぐりのミステリー七篇を収録。 文藝春秋
堪忍箱 蓋を開けたら最後、この近江屋に災いが降りかかる…。決して中を見てはいけないというその黒い文箱には、喪の花・木蓮の細工が施してあった―。物言わぬ箱が、しだいに人々の心をざわめかせ、呑み込んでいく表題作。なさぬ仲の親と子が互いに秘密を抱えながらも、寄り添い、いたわり合う「お墓の下まで」。名もなき人たちの日常にひそむ一瞬の闇。人生の苦さが沁みる時代小説八篇。 新潮社




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