書  棚  


小池真理子

題      名 あ ら す じ (カバーより) 出版社
間違われた女 顔も覚えていない高校の同窓生からの思いもかけないラブレター、そして電話…正気なのか? それとも…。
男からの一通の手紙が、身も凍る恐怖の始まりであった・・・。長編推理小説
祥伝社
第三水曜日の情事 ジャネットは広告代理店に勤めるOL。女友達の何気ない言葉から、社長殺害の完全犯罪を思いつく。「第三水曜日」なら成功間違いなし。これで恋も仕事も思いのまま、と思いきや、完璧だったはずのアリバイが・・・。ショート・ミステリー二十編。 角川書店
あなたから
逃れられない
若い豹のようにのように美しい恭一に惹かれていく人妻の比奈子。画廊経営者の夫を欺いて二人は逢瀬を楽しんでいた別荘に不意に訪れてきた少女。そして彼女の突然の死が謎めいた事件をよびおこす。不倫の愛に溺れた比奈子を追いつめる脅迫者。また新たな殺人事件が・・・。緊張した男と女の愛を描くラブサスペンス。 集英社
仮面のマドンナ 市原寿々子は二十七歳、OL。東京で独り暮らしを始めてもう九年になる。ある日、寿々子の元へ仙台の両親から八度目の見合い話が舞いこんだ。寿々子は恋人である五郎にこの話を相談し、ある工作を企てる。興信所に自らの素行調査を依頼し、五郎と共のあえて品行劣悪な行動をとり、破談させようというのである。が、興信所の尾行初日、寿々子は遊びに行ったディスコで爆発事故に遭い、全身火傷を負ったうえ意識不明に陥ってしまう。そして気付いた時、彼女は虚空の闇に、絶叫という名の産声をあげたのだった―。人間の極限の心理と、日常の奥底に潜む狂気ををクロスさせて見事に描き切った、迫真のサスペンス。 角川書店
悪女と呼ばれた女たち 革命と反権力に殉じた女、エロスの極致をきわめた女、堕胎罪の汚名に泣いた映画スター・・・。数奇な運命に翻弄され、世間の価値観に逆らって生きた女たち。彼女らはなぜ悪女と呼ばれなければならなかったのか?極限の生と性を生きた女の真の姿を熱い想いで探ったノンフィクション六編。 集英社
彼女が愛した男 令子と美穂は親友同士、気ままな数日を過ごそうと川村山荘にやってきた。楽しい一日が始まった。だがその頃、近くにある作曲家の別荘に二人の男が忍び込んだ。留守のはずの別荘には、妻が残っていた。金目当ての泥棒は殺人者に変わった。しかも二人の殺人者は川村山荘に逃げ込んだのだ。令子と美穂、管理人の老夫婦が人質となった。とらわれ、恐怖におののく女、血の臭いにたける男。しかし突然のパニックで、女の心に微妙な変化が―。迫真のタッチと思いがけぬストーリー展開で描くサスペンス。 角川書店
恐怖配達人 男は貧しいから頑張った。努力の甲斐あって今やBMWの新車から超豪華マンションまで自分のものだし、大企業の社長令嬢とも婚約している。幸福の絶頂にいた男だがある夜六本木で育ちの良さそうな娘を拾ったことから、運命の歯車が少しずつ狂い始めた・・・サスペンスの名手が日常生活に潜む恐怖を巧みに紡ぎ出した6編。 双葉社
あなたに捧げる犯罪 頑固で陰険でひどい食道楽で回りの人間をイビリまくる―そんな父を私が憎むのは当然だった。いや、私だけでなく妹も同居の叔母も悩んでいた。なのに後妻の愛子さんだけはどんな無理難題を言われても、辛抱強くにこにこと仕えてるのが不思議だった。そしてクリスマスイブに事件は起きた!さりげない日常に潜む恐るべきサスペンス六編。 双葉社
闇のカルテット 男を跳ね殺してしまった芽衣子の頭に悪魔の様な計画が過る。死者を蘇らせればいい。身代わりをたてればいい。芽衣子が目をつけたのは記憶喪失の若いルンペンだった。死んだ男にはまだ見ぬ実母がフランスに居る。そこに身代わりの男が無事に訪れることさえ出来れば贖罪と完全犯罪が一挙に成立する。かくて計画は着々と進む、行手に待つは成功か破滅か? 双葉社
双面の天使 絵のように美しい兄弟、潤と茜―。幼いふたりの胸底に芽生えた新しいママ§a歌子への小さな嫌悪が恐ろしい惨劇を招く表題作。牝の三毛猫と濃密に暮らす独身中年男の身近で起こる謎の連続完全殺人を描く『共犯関係』。都市の孤独と人の心の不可解さが、思いがけない殺意と狂気を呼びさます。サイコ・スリラー4編。 集英社
プワゾンの匂う女 グレは銀座のクラブアビシニアン≠フ新人ホステス。フランス製の香水プワゾンを愛用していること以外、素性はわからない。食品会社に勤務する小泉哲夫は、社用で店に通ううち、グレに魅かれていった。ある夜、グレと小泉は山中湖にドライブに出かけるが、翌朝、小泉の溺死体が発見され、遺体からは多量の睡眠薬が発見されたのだ!?グレの行方は?長編サスペンス。 徳間書店
見えない情事 けだるい夏の午後がたゆたう海辺のリゾート・ホテルで出会った二組の男女。純平と夕起子の、閉鎖的だが静穏な生活に、資産家とその若い後妻が遺物のように侵入してきたのだ。煩しがっていた夫が次第に変化していくのをみて、夕起子の胸にふと不安がきざす。女の妄想か、男の裏切りか、四人の危うい均衡が崩れたとき意外な事件が・・・。表題作他、サスペンスとホラー6編。 中央公論社
彼方の悪魔 孤独な留学生がペットの死骸とともに持ち帰った恐るべきペスト菌―。人気女性キャスターに歪んだ愛情を抱く男が実行した異様な誘拐―。肉体を蝕む病いと精神を蝕む病いが平穏な街角で交錯するとき、恐怖と戦慄の二重奏がかなでられる。都会派サスペンス長編。 中央公論社
会いたかった人 <「いやだ。わからない?そんなに私、変わった?」良美はそう聞きながら、走り寄って来た。小夜子はやっとの思いで笑顔を作った。これがあの、魅力的だった結城良美であるとはとても信じられなかった>花形心理学者・諸井小夜子は、中学時代の無二の親友と二十五年ぶりに再会した。が、喜びも束の間、直後から恐怖に悩まされ始めた・・・。表題作他5編。 祥伝社
死者はまどろむ 美しい自然と信仰心厚い村人たち―「夢見村」に魅了された間宮亜希子は一家でひと夏を過ごしにやって来た。小説家の夫はスランプを脱し、義母は優しくなった。ここは幸福をもたらす魔法の土地だった。偶然一家が異様な葬列と共同墓地を見た時から何かが狂いはじめる。ざわめく木立の隙間に、きらめく光の中に死者の影が忍び寄る。若い家族を恐怖のどん底に突き落とす怪異の連続。長編モダンホラー。 集英社
殺意の爪 怒鳴り合う声、立ち去る男、長く続く女の悲鳴。―同じマンションで愛人を待つ木部比呂子はそのとき不審な思いにかられた。翌日、その部屋から布施夏美の死体が発見され、夏美の恋人が逮捕された。「彼はシロだ」真実を知る比呂子はしかし、不倫の恋の発覚を恐れて口を噤んだ。秘密に怯える彼女の前にあらわれた男は!?赤いマニキュアの謎。日常の中にある恐怖。 光文社
やさしい夜の殺意 久美は親友の麗子に伴われて十三年ぶりに兄に再会した。美しくもの静かな妻、郊外の小さいながらも瀟洒な家―落ちついて幸福そうな兄の家庭に、久美も自然に溶け込んで行った。しかしある晩麗子が謎の死を遂げた時から、この家にかすかに疑惑と死の気配が漂うことに気づいた―。日常生活にひそむ殺意の意外な結末を描く、サスペンスミステリー五編。 中央公論社
無伴奏 学園紛争、デモ、フォーク反戦集会。1960年代、杜の都・仙台。荘厳なバロック音楽の流れる喫茶店で出会い、恋に落ちた野間響子・17歳と堂本渉・21歳。多感で不良っぽい女子高生と男からも女からも愛されるような不思議な雰囲気の大学生の危険で美しい恋。激しい恋をひっそりと見守る渉の特別な友人、関祐之介。三人の微妙な関係が引き起こす忌わしい事件はやがて20年後の愛も引き裂いていく。異色長編。 集英社
贅肉 美貌と知性をそなえた姉は、失恋をきっかけに異常な食欲をもちはじめる―やがて一人では生きていけないほど醜く太った姉に妹が抱くのは憐憫?殺意!?(表題作)。ストーカーに変貌した気弱な若者が起す悲劇(「一人芝居」)。偏屈な二人の老女の同居生活が片方の死でも変化しないミステリアスな心理劇(「どうにかなる」)、ほかサスペンスとアブノーマルな人間心理を描き、心の襞が震える短編集。 中央公論社
ナルキッソスの鏡

女装倒錯、その美貌とあいまった孤高のナルシズムに生きる作家志望の青年。そして、殺戮をくりかえしてまでも子供たちを守ろうとする過剰な家族愛に生きる異形の大女。高原の避暑地を舞台に、それぞれの人生が交錯するとき悲劇のドラマがはじまる──。愛と憎しみに囚われた人間の2つのストーリーがモザイク模様のように絡み、展開する衝撃のサイコ・サスぺンス。

集英社
追いつめられて 優美には他人に言えない秘密の愉しみがあった。「万引」である。いつもなら安物のイヤリングやネックレスを狙うのだが、その日は市価百二十万円もの燦然と輝くダイヤの指輪だった。いつにない極度の緊張と恐怖を全身に感じながら、どうにか成功させた優美だったが、本当の恐怖はそのあとから始まった・・・!(表題作)。見えない恐怖をスリリングに描くサスペンス短編集。 祥伝社
妻の女友達 市役所の戸籍係をしている夫と美人ではないが清楚で控えめな妻。平和で波風の立たない人生をこよなく愛する夫婦の前に、突然現れた妻の学生時代の女友達。女流評論家として活躍するスキャンダラスな女の登場が平穏な家庭をいつのまにか破滅的状況に追い込んでいく・・・。推理作家協会賞受賞の表題作。ありふれた日常に潜む愛憎が殺意を纏ってあなたの背後に忍び寄る恐怖の瞬間。サスペンス6編。 集英社
唐沢家の四本の百合 雪の降りしきる唐沢家の別荘につどう、仲の良い三人の嫁と、足の不自由な娘。そこに舞い込んだ一通の速達―「俺は妹に代わり、おまえを痛めつけてやることに決めた」平穏な日々のぬくもりの中で暮らす四人の女達は、恐怖と疑惑の穴に突き落とされた。洒落者の義父に、あるいは夫に、何が起こったのか―。長篇心理サスペンス。 中央公論社
柩の中の猫 東京郊外に暮らす美術大学の講師、川久保悟郎。その娘でララという名の猫にだけ心を開く孤独な少女、桃子。そして、家庭教師として川久保家にやってきた画家志望の雅代。微妙な緊張を抱きながらもバランスのとれた三人の生活はそれなりに平穏だった。そう、あの日、あの女が現れるまでは・・・・丹念に描かれた心の襞と悲劇的なツイスト。私のおすすめの一冊。 新潮社
うわさ あの人は人殺し=Aそんなうわさ≠ェ立ったから、私はヘルパーを辞めざるをえなかった。あのとき、おばあちゃんは、もう死んでいたのよ。仕方がないから、いまは静かにしてスーパーでパートやってる。私の楽しみはただひとつ。勝手知った元の雇い主の家に忍び込んで・・・。誰のなかにもありそうな心の歪み。日常生活にある静かな恐怖。ホラーミステリー。 光文社
墓地を見おろす家 新築・格安、都心に位置するという抜群の条件の瀟洒なマンションに移り住んだ哲平一家。問題は何一つないはずだった。ただ一つ、そこが広大な墓地に囲まれていたことを除けば・・・。やがて、次々と不吉な出来事に襲われ始めた一家がついにむかえた、最悪の事態とは・・・!?衝撃と戦慄のモダン・ホラー。 角川書店
夜ごとの闇の奥底で 誤って恋人の脚本家を射殺してしまった妹をかばうため、凶器の拳銃を捨てようと山梨方面に車を走らせていたフリーライター、世良祐介。ところが車を木にぶつけ立ち往生してしまった。偶然通りかかった亜美という若い女に助けられ、彼女のペンションに連れて行かれる・・・雪の降りしきる山奥のペンション、こ惑的な女、サイコパセティックなその父親。やがて狂気が全てを・・・・。 新潮社
危険な食卓 健康至上主義の妻と美食家の夫の晩餐は、殺意が隠し味の特別料理。(『危険な食卓』)。がさつな嫁に絶える姑の、穏やかな顔の下にある、もうひとつの顔。(『天使の棲む家』)。妻と夫、姑と嫁、同級生など、ごく普通の人々の、ありふれた日常に芽生える小さな殺意、裏切りの予感、殺意の兆し。人間の心理を、恐怖というスパイスをきかせて鮮やかに料理した極上のメニュー8編。 集英社
蠍のいる森 美千代は人間嫌いの図書館司書。英国人の夫と離婚して帰国した女流翻訳家、真樹子と知り合って始めて心の交流を持った。二人が共有する静かな日常に、ある日、奔放な人生をおくる修平が入り込んできた。三者三様に大都会で生きる男女のそれぞれの愛が進行するが、修平が資産家の老未亡人の財産を狙ったことから急展開し、恐怖の結末を迎えるラブ・サスペンス。 集英社
怪しい隣人 さえない中年男の、親友の未亡人に寄せるほのかな恋心がとんでもない結末を生む「妻と未亡人」。夫の上司の娘を預かることになった主婦が、知りたくもない事実を知らされる「本当のこと」。思いがけない事件をきっかけに妻と愛人の間で孤立してゆく男を描く「隣の他人」他、ありふれた人々の、少し歪んだ思惑が交錯するとき、日常にぽっかりと開く恐怖の落とし穴。心の闇を暴くサスペンス6編。 集英社
記憶の隠れ家 あなたは覚えているのでしょうか。激しい愛の思い出も、暗く静かな憎しみの過去も、すべてを絡めとリ封印してしまったあの「家」のことを・・・。記憶の深みに隠されていた悲劇の真相が、いま、眩暈を誘うストーリーの螺旋。悲しいほど美しく残酷な物語サスペンス短編集。 講談社
連合赤軍が浅間山荘事件を起こし、日本国中を震撼させた1972年冬。当時学生だった矢野布美子は、大学助教授の片瀬信太郎と妻の雛子の優雅で奔放な魅力に心奪われ、彼ら二人との倒錯した恋にのめりこんでいた。だが幸福な三角関係も崩壊する時が訪れ、嫉妬と激情の果てに恐るべき事件が!?香りたつ官能、美しき異端、乾いた虚無感。比類なき美と官能に彩られた小池文学の最高峰!直木賞受賞作。 早川書房
欲望 三島由紀夫邸を寸分違わずに模倣した変奇な館に、運命を手繰り寄せられた男女。 図書館司書の青田類子は、 妻子ある男との肉欲だけの関係に溺れながら、 かつての同級生である美しい青年 ・正巳に強くひかれてゆく。しかし、 二人が肉体の悦びを分かち合うことは決してなかった。正巳は性的不能者だったのだ・・・切なくも凄絶な人々の性、愛、そして死。究極の恋愛小説。 新潮社
美神 ミューズ 阿佐子は、背中に薄いピンクの羽を隠し持っているような子供だった。少女から女へ。儚いほど完璧な美、存在自体が放つ官能の気配、そのすべてが周りの人々を狂わせる。男たちは蜂蜜色にきらめく肌に惑い、阿佐子の表現する愛情はなんであれ、彼らの猜疑心を刺激した。あまりにも美しき破滅の愛の物語。 講談社
キスより優しい殺人 父の経営するバードショップにやって来た赤い口紅の女は、僕の五官を麻痺させる魔力を持っていた。翌日、カナリヤを屋敷に届けた時、柏木園子というその美貌の人妻は、「カナリヤの鳥かごがベランダに出ている時に来て」と、僕を誘惑した。僕はそれから毎日屋敷の前をうろつき、園子との濃密なひとときに夢中になる。だが彼女の目的は他にあった・・・(表題作)日常の恐怖十五篇。 徳間書店
蔵の中 会えば会うほど苦しくなり、切なさが増して、別れがたくなる。交通事故で半身不随になった夫の世話をする毎日。唯一、心を支えてくれるのがあの人、夫の親友であり、事故の加害者でもある新吾だった。これは宿命的な恋、だが人は欲求不満の人妻と嗤(わら)うだろう――秘めた恋の果てに罪を犯した女の、狂おしい心情を活写した、心理サスペンス。 祥伝社
死に向かうアダージョ 死に魅入られた二人の男女(千尋と多門)は、甘美な充足感の中で静謐な終焉を迎えるはずだった。アルビノーニの荘厳な旋律に浸りながら・・・しかし雪に閉ざされた山小屋で、愛と孤独、そしてほんの少しの偶然が、事態を予期せぬ方向へと導いていく。アダージョに隠された真実とは!?心理サスペンス。 双葉社



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