2002BOOK


7月 8月
書      名 著     者 書      名 著     者
だましゑ歌麿 高橋克彦 縮尻鏡三郎(下) 佐藤雅美
ボクの町 乃南アサ ひとおもいに夏子 新津きよみ
陰陽師 夢枕獏 孤独の歌声 天童荒太
陰陽師飛天ノ巻 夢枕獏 家鳴り 篠田節子
陰陽師―付喪神ノ巻 夢枕獏 闇の音 明野照葉
縮尻鏡三郎(上) 佐藤雅美 棲家 明野照葉
あじゃ@109 吉村達也




 7月
だましゑ歌麿 高橋克彦 文春文庫762円税別

江戸を高波が襲った夜、人気絵師・喜多川歌麿の女房が惨殺された。歌麿の絵に込められた風刺を憎む幕閣から妨害されながらも、事件の真相を追う同心・仙波の前に、やがて明らかとなる黒幕の正体と、あまりに意外な歌麿のもうひとつの顔とは!?浮世絵研究の泰斗でもある著者が、満を持して放つ傑作時代小説。

★★★★★



ボクの町 乃南アサ 新潮文庫705円税別

警視庁城西署・霞台駅前交番に巡査見習いとして赴任した高木聖大は、研修初日から警察手帳に彼女のプリクラを貼っていたことがバレるような、今風のドジな若者。道案内、盗難届の処理、ケンカの仲裁などに追われるが、失敗の連続でやる気をなくしていた。が、所轄の同期見習いが犯人追跡中に大ケガを負ったことで俄然、職務に目覚める。聖大の成長をさわやかに描くポリス・コメディ。

★★★★☆



陰陽師 夢枕獏 文春文庫476円税別

平安時代。闇が闇として残り、人も、鬼も、もののけも、同じ都の暗がりの中に、時には同じ屋根の下に、息をひそめて一緒に住んでいた。安倍清明は従四位下、大内裏の陰陽寮に属する陰陽師。死霊や生霊、鬼などの妖しのもの相手に、親友の源博雅と力を合わせこの世ならぬ不可思議な難事件にいどみ、あざやかに解決する。

すでに岡野 玲子さんのマンガを読んでいるので新鮮味はなかったけれど、清明と博雅の言葉遊びが楽しくあっという間に本の世界にどっぷりとつかってしまいました。、「ゆこう」「ゆこう」「そういうことになった」が大好き。
★★★★★



陰陽師―飛天ノ巻 夢枕獏 文春文庫448円税別

「童子のあやかしが出没し、悪さを働いているようだな、博雅」「よし。では、ゆくか晴明よ」。われらが都を魔物から守れ。百鬼が群れる平安京の闇の果て、幻術、風水術、占星術を駆使し、難敵に立ち向う希代の陰陽師・安倍晴明、笛の名手・源博雅。名コンビの活躍、すがすがしくて、いと、おかし。

★★★★★



陰陽師―付喪神ノ巻 夢枕獏 文春文庫476円税別

丑の刻、貴船神社に夜毎現われる白装束の女が鬼となって、自分を捨てた男を取り殺そうとする。そんな男の窮地を救うため、安倍晴明と源博雅が目にしたものは!?女の悲しい性を描いた「鉄輪」他、全七篇。百鬼夜行の平安時代。魍魎たちに立ち向かう若き晴明と博雅の胸のすく活躍、魅惑の伝奇ロマンシリーズ第三弾。

★★★★★



縮尻鏡三郎(上) 佐藤雅美 文春文庫524円税別

大番屋元締の拝郷鏡三郎は、もと上級役人。何のわけあってか失職、陰では"しくじり鏡三郎"と呼ぶ者もいるが、勘定奉行の三枝能登守は、クビになった鏡三郎のことをなぜか気にかけている。小伝馬町の牢送りになる前に犯罪人や被疑者を拘留し、調べを行う大番屋には訴えや依頼が後を絶たない。鏡三郎のもとへ持ち込まれたさまざまな事件の意外な真相と、それらを通して市井に生きる人々の姿を鮮やかに描く、書き下ろし連作小説。

★★★☆☆




 8月
縮尻鏡三郎(下) 佐藤雅美 文春文庫524円税別

大番屋本締の拝島鏡三郎の許には、町方の怪事件から老中の心配事まで相談事が持ち込まれる。鮮かに解決する鏡三郎の評判はあがり、遂には将軍から、ある難問を持ち込まれた−最近、長崎での交易が不振となり、赤字が続くようになっている。どうやら、陰に薩摩藩の存在があるらしい。長崎へ向う鏡三郎を待ち受けるものは・・・・・・。

★★★☆☆



ひとおもいに夏子 新津きよみ ハルキ・ホラー文庫514円税別

「ひとおもいに,ひとおもいに,夏子,あの男を殺してしまいなさい」――翻訳家の笠木夏子は,少女時代の家庭教師・金子敏弘に偶然,再会してしまう。金子は夏子に巧妙に近づいてきた。一方,夏子は,金子を殺したいほど憎んでいた。だが,そんなある日,金子が何者かに殺された。そして,夏子のところに,”もう一人のあなたの分身の夏子”と名乗るメールが届くようになった……。驚愕の結末へと貴方を誘う,サスペンス・ホラーの傑作書き下ろし。


★★★☆☆



孤独の歌声 天童荒太 新潮文庫552円税別

凄惨な連続殺人が発生した。独り暮らしの女性達が監禁され、全身を刺されているがレイプの痕はない。被害者の一人が通っていたコンビニでの強盗事件を担当した女性刑事は、現場に居合わせた不審な男を追うが、突然彼女の友人が行方不明に…。孤独を抱える男と女の、せつない愛と暴力が渦巻く戦慄のサイコホラー。日本推理サスペンス大賞優秀作を新たな構想のもとに、全面改稿。

★★★★★



家鳴り 篠田節子 新潮文庫552円税別

ありふれた日常の裏側で増殖し、出口を求めて蠢く幻想の行き着く果ては……。巨大地震が引き起こす食料危機、老女の心の中で育まれた介護ロボットへの偏愛、摂食障害のために限りなく肥満していく女、豚の世話だけに熱中する孤独な少年の心の爆発−。抑圧された情念が臨界まで膨れ上がり、過剰な暴力となって襲いかかる瞬間を描いた戦慄の七篇。『青らむ空のうつろいのなかに』改題。

★★★★☆



闇の音 明野照葉 ハルキ・ホラー文庫680円税別

静かで快適な生活をもとめて、新しい部屋に引っ越してきた吉川真昼。しかし彼女には人に言えない秘密があった……。常人ばなれした異常な聴覚。普通には絶対聞こえないはずの、日常の騒音−階下の部屋の電話で話す声や小さな物音−まで聞こえてしまうのだ。そして引っ越した矢先に、真昼は階上の住人にある疑惑を抱く……その男は殺人者ではないか?人間の心の闇を聞かされてしまう真昼に、いままでにない恐怖が襲いかかる!書き下ろしで描く心理ホラーの傑作。

★★★☆☆



棲家 明野照葉 ハルキ・ホラー文庫680円税別

恋人のために、新しい部屋を探し始めた中内希和は、一軒目に紹介された物件を一目見て気に入ってしまう。風変わりな洋館だった。家賃五万円、赤味の強い錆色をした瓦屋根、動植物を象ったレリーフや幾何学模様のモザイクのある外壁、軒先飾りや破風飾り、フレンチウインドーのテラス…。希和にとって最高の部屋に思えた。さっそく引越した希和は恋人を招き、幸せな時間を過ごそうとするのだが―。

★★★☆☆



あじゃ@109 吉村達也 ハルキ・ホラー文庫476円税別

桐島尚紀は、恋人玲美との結婚を翌月に控えたある日、交通事故に遭い、右腕右脚骨折の重傷を負って渋谷ホスピタルに入院した。病室番号は109。ある夜更け、尚紀はベッドの傍らに忽然と現れた謎の原色ナースに驚かされる。その名は「あじゃ」。彼女は人よりも三十日先を生きていると語り、たったいま尚紀が死ぬのを見てきたところ、と言う。つまり、彼の命は残り三十日。突然のカウントダウンに混乱する尚紀が迎える結末に、あなたは泣いてしまうかもしれない…。

★★☆☆☆


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