2001BOOK


9月 10月
書      名 著     者 書      名 著     者
パラレルワールド・ラブストーリー 東野圭吾 分身 東野圭吾
R.P.G 宮部みゆき もう一度住みたい 新津きよみ
未明の家 篠田真由美 血を吸う夫  新津きよみ
心室細動 結城五郎 隣の女 新津きよみ
ファイアボール・ブルース2 桐野 夏生 後催眠 松岡圭祐
私が彼を殺した
東野圭吾 回廊亭殺人事件 東野圭吾
人質カノン 宮部みゆき ドールズ 闇から招く声 高橋克彦
クリスマスのフロスト R.・D・ウィングフィールド
眠りの森 東野圭吾




 9月
パラレルワールド・ラブストーリー 東野圭吾 講談社文庫743円税別

親友の恋人を手に入れるために、俺はいったい何をしたのだろうか。「本当の過去」を取り戻すため、「記憶」と「真実」のはざまを辿る敦賀崇史。錯綜する世界の向こうに潜む闇、一つの疑問が、さらなる謎を生む。精緻な伏線、意表をつく展開、ついに解き明かされる驚愕の真実とは!?傑作長編ミステリー。

まず序章で主人公の「崇史」と「彼女」が、平行して走る電車の向うとこちらで出会い意識しあう・・・というところから始まり、「崇史」の親友の彼女として再会。
ここまで書くと良くありそうな設定ですが、話は、まるで最初の電車の場面のように、現在と過去が平行して進んでいきます。
現在は彼女は崇史の恋人として一緒に暮らしているし、過去はあくまでも親友の彼女で、恋と友情の狭間にたって悩み苦しんでいる。
人間は弱い生き物です、記憶を変えることが出来たなら、辛いことから眼をそむけたくなるのは当たり前、その術があったなら、それに頼ってしまうかもしれない。でも、本当にすべて忘れられるものじゃない・・・んだなぁ〜と。とてもせつなかったけど面白い作品でした。



R.P.G 宮部みゆき 集英社文庫473円税別

ネット上の擬似家族の「お父さん」が刺殺された。その 3 日前に絞殺された女性と遺留品が共通している。合同捜査の過程で, 「模倣犯」の武上刑事と「クロスファイア」の石津刑事が再会し、2つの事件の謎に迫る。家族の絆とは、 癒しなのか? 呪縛なのか?舞台劇のように、 時間と空間を限定した長編現代ミステリー

犯人の目星は途中でわかりました。最後の方の犯人の正義という言葉に対して、石津刑事の言った言葉が後を引きました。クロスファイアはだいぶ前に読んだのですが、先日TVで放送した映画版のクロスファイアが脳裏にまだ残っていたので、青木淳子と今回の犯人をつい比べてしまったりなんかして・・・正義という名のもとに、暴走してしまった青木淳子、正義という名を借りて報復をしてしまった今回の犯人。
この本も最後は切なかったですね、今回の犯人も少し場所を変えてみれば、こんな事をせずに済んだのにと、こういう風にしか生きられないっていうのは、なんと不幸な事なんだろう。



未明の家 篠田真由美 講談社文庫695円税別

建築探偵・桜井京介が文庫初登場!京介を訪ねた古風な美少女の依頼は“閉ざされたパティオ”を持つ別荘の鑑定と主である祖父の死の謎を解くことだった。少女の一族を巻き込む不可解な事故死、そして自殺未遂。事件はすべて別荘をめぐって起きた。ミステリアスな建築造形に秘められた真実を、京介が追う!

読みやすい本だと思います(読むの時間かかったけど^^;)、桜井京介も女性受けしそうなタイプだし(笑)しかし、美貌を前髪で隠している設定は、どこかで読んだ事あるような、マンガだったかな?ありきたりさを感じてしまった。
登場人物は結構いいですよね、蒼くんの秘密も気になるし・・・これからもこのシリーズ読んでいきたいと思わせてくれます。
未明の家は犯人探しというよりも、建物に秘められた謎とか、一族の謎とかの要素が大きかったかな。でも、最後の名前の謎ときはちょっと強引だったような・・・



心室細動 結城五郎 文春文庫524円税別

二十年前の「事件」を暴く脅迫状を受け取った一カ月後、院長は心室細動を起こし急死した。「事件」に関与したのは院長、婦長、看護婦、現在医学部助教授の上原。四週間後婦長が死に、上原にも脅迫状が…。過去の罪に怯え、破滅へと向かう男のリアルな恐怖を描く第15回サントリーミステリー大賞受賞作。

話はとても面白く、作家が医師なので医学的な事に関して、わかりやすく読みやすい作品になっています・・・が、ひっぱってひっぱった謎解きの部分、もしかしたらたいした事ないかも?と思った事が当ってしまった^^;それほどすごい!とか感じなかった私でした。でも医療に関わる方は絶対しちゃいけない事ですが。それにしても女の執念て恐いっ!



ファイアボール・ブルース2 桐野 夏生 文春文庫448円税別

女子プロレス界きっての強者・日渡抄子。人は彼女を「ファイアボール」と呼ぶ。火渡に憧れて入門し、付き人になった近田。仲の良かった同期・与謝野の活躍を前に、自分の限界が頭をかすめる。そんな折、火渡が付き人を替えると言い出した。近田は、自分にどうケジメをつけるのか。女の荒ぶる魂を描いたシリーズ完結篇となる連作短篇集。



私が彼を殺した
東野圭吾 講談社ノベルス800円税別

流行作家・穂高誠が、新進の女流詩人・神林美和子との結婚式当日に毒殺された。美和子の兄・貴弘、穂高のマネージャー・駿河直之、穂高の担当編集者・雪笹香織。彼らは皆、事件後つぶやく。「私が彼を殺した」と……。容疑者は3人。そして犯人は1人。卓絶のテクニックで繰り出される真相を、はたしてあなたは看破できるか?



人質カノン 宮部みゆき 文春文庫476円税別

「動くな」。終電帰りに寄ったコンビニで遭遇したピストル強盗は、尻ポケットから赤ちゃんの玩具、ガラガラを落として去った。事件の背後に都会人の孤独な人間模様を浮かび上がらせた表題作「人質カノン」、タクシーの女性ドライバーが遠大な殺人計画を語る「十年計画」、他に「過去のない手帳」「八月の雪」「過ぎたこと」「生者の特権」「漏れる心」など、街の片隅、日常に潜むよりすぐりのミステリー七篇を収録。

「八月の雪」「過ぎたこと」「生者の特権」は子供のいじめがテーマになっています。
「八月の雪」はいじめグループから逃げる途中、交通事故にあい片足を失ってしまった少年充が主人公。やはり未成年という事で、いじめグループは罪を逃れ、のうのうと普通の生活をしている。一方いじめにあった方は、自殺したり部屋に引きこもりになったり・・・こんなんじゃ先生も教育委員会も警察も政治家もいらんぞ〜〜!って怒鳴りたくもなりますよね、世の中ほんとに不公平です。でも充君、祖父の死(遺書)をきっかけに、生きる事の意味を見つけていってくれたようです。良かった良かった頑張ってね。



クリスマスのフロスト R.・D・ウィングフィールド(芹澤恵訳) 創元推理文庫880円税別

ロンドンから70マイル。ここ田舎町のデントンでは、もうクリスマスだというのに大小様々な難問が持ちあがる。日曜学校からの帰途、突然姿を消した八歳の少女、銀行の玄関を深夜金梃でこじ開けようとする謎の人物…。続発する難事件を前に、不屈の仕事中毒にして下品きわまる名物警部のフロストが繰り広げる一大奮闘。抜群の構成力と不敵な笑いのセンスが冴える、注目の第一弾。

私は翻訳ものはどうも馴染めなくて、よっぽどの事がないと読みませんが、主人からこの本は面白い!と勧められ読んでみました。最初から主役のフロスト警部が銃で撃たれちゃうので、えっ!なんで?と興味をそそられました。そのフロスト警部、見た目も汚く品もなく、しょうもないギャグを飛ばすし、捜査は勘に頼ってるし・・・でも人望は厚いんですよね(下からは)。それになぜかうまいこと回りに事件が集まってくるし、事件を解決していっちゃうんですよ、その分ドジもいっぱいありますが。フロストのキャラとそんなフロストに振り回されるクライブが面白い。



眠りの森 東野圭吾 講談社文庫552円税別

美貌のバレリーナが男を殺したのは、ほんとうに正当防衛だったのか?完璧な踊りを求めて一途にけいこに励む高柳バレエ団のプリマたち。美女たちの世界に迷い込んだ男は死体になっていた。若き敏腕刑事・加賀恭一郎は浅岡未緒に魅かれ、事件の真相に肉迫する。華やかな舞台の裏の哀しいダンサーの悲恋物語。





 10月
分身 東野圭吾 集英社文庫695円税別

函館生まれの氏家鞠子は18歳。札幌の大学に通っている。最近、自分にそっくりな女性がテレビに出演していたと聞いた―。小林双葉は東京の女子大生20歳。アマチュアバンドの歌手だが、なぜか母親からテレビ出演を禁止される。鞠子と双葉、この二人を結ぶものは何か?現代医学の危険な領域を描くサスペンス長篇。

神の領域まで踏みこんだ研究・実績、そしてはやりその陰にある大きな力。こういう研究はやはり陰で動かす力がないと難しいですよね。
鞠子と双葉の章が交互に書かれており、どこで二人は会うのだろうか、会ったらお互いにどう思うのだろうか、この二人の元になった女性は二人のことをどう思うのだろうか、鞠子と双葉、そしてオリジナルの女性の心理が細かく描かれていて、読んでいてきっと当事者だったらそう思うんだろうなと、とても納得出来た本でした。
 ★★★★☆



もう一度住みたい     新津きよみ ハルキ・ホラー文庫552円税別

高橋芙美子は競売物件でマイホームを手に入れた。偶然、先住者も「高橋」であったため、表札はそのまま使うことに。新生活は穏やかにスタートしたが、そんなある日、「ただいま」と見知らぬ男がやって来た。男は先住の高橋家の長男で、七年余り家出をしていたという。男は消えたが、翌日、芙美子は二階で"ガリガリ"と不気味な音がしているのに気が付いた…。幸福な「高橋」家に襲いかかる不幸な「高橋」家の影。戦慄の書き下ろしホラーサスペンス長篇。

もう一度住みたいという題名は、誰の言葉なのか興味がわいた本でした。不幸続きだったという前に住んでいた家族の死んだはずの長男が現れたり、次の日2階の和室から不気味な音が聞えてきたり・・・とか、幽霊系のホラーなのかなとちょっとびくついたけど(笑) でも、人間だったけど砂壁をがりがりかじるなんて女も怖いよね(^-^; ★★★☆☆



血を吸う夫     新津きよみ ハルキ文庫920円税別

「夫は吸血鬼かもしれない」―マタニティ雑誌「プレマム」編集部の布施乃理子あてに不審な手紙が届いた。一方、同じ頃、「プレマム」の元モデルが絞殺され、さらに「プレマム」の読者を巻き込む児童誘拐事件が発生する。不審な手紙と二つの事件には、複雑な人間関係と恐るべき事実が隠されていた…。「現代」の吸血鬼をテーマに、人間の"血"と"愛"を描く心理サスペンスの力作長篇。

★★★☆☆



隣の女 新津きよみ ハルキ文庫580円税別

ステンドグラス作家・羽田野祥子は、妹を持て遊び、自殺に追い込んだ男・森嶋吾郎を殺そうと刃物を手に待ち伏せをしていた。そんな彼女の前に、アイと名乗る謎の人物が現れた。「ぼくが、かわりに殺してあげましょうか」……一週間後、森嶋は自宅近くの公園で頭を割られ、死体となって発見された! 次の日、祥子は隣に住む主婦・宮脇まゆみに、「わたしにも殺し屋を紹介してほしい」と頼まれるが……。殺意を抱く二人の女性心理を描く長篇サスペンス。

タイトルが面白い、その章の内容を想像するのも楽しみの一つになってます。
本当に殺し屋はいるのか?隣に住む女は?
展開が最後まで読めない本でした・・・が、なんでこんな手の込んだ事をというか、複雑な事をするんだろうと、ちょっとあきれちゃったところもありました(笑)
 
★★★☆☆



後催眠 松岡圭祐 小学館文庫476円税別

嵯峨敏也は謎の女からの電話を受けた。嵯峨にとって、かつて催眠療法の教師でもあった精神科医・深崎透の失踪を、木村絵美子という患者に伝えろ。女の声は一方的にそう指示し、電話は切れた。癌に冒され、余命いくばくもない深崎と、絵美子のあいだに芽生えた医師と患者の垣根を越えた愛。だがそこには驚くべき真実が隠されていた―。「催眠」を遙かに凌ぐ感動、異色にして胸を打つラブストーリー。リアリズムとファンタジーの狭間に位置する松岡ワールド最高傑作。

「催眠」の何年か前の物語という設定。私は「催眠」の嵯峨さんのキャラが結構好きだったので、映画化されてからの嵯峨さん性格・容姿の変化にはいまいちついていけない(;^_^A あ・・私吾郎ちゃんは好きなんですが。で、この本ももちろん変わってしまった方の嵯峨さんのキャラ、いいんですけどね。
さて、この本の内容は、嵯峨さんは脇役となってます、医師深崎と患者恵美子の間の甘くせつない恋の物語、その中に後催眠という使い方によっては、ちょっと危ない催眠療法がからんできているミステリー仕立てになっています。私的には好みではなかったので・・・
★★☆☆☆



回廊亭殺人事件 東野圭吾 光文社文庫514円税別

一代で財を成した一ケ原高顕が死んだ。妻子を持たない高顕の莫大な財産の相続にあたり、彼の遺言状が一族の前で公開されることになった。公開場所は旅館"回廊亭"。一族の他には、菊代という老婆が招待されていた。だが、菊代の真の目的は、半年前に回廊亭で起きた心中事件の真相を探ることだった…。その夜、第一の殺人が。斬新な趣向を凝らした傑作長編推理。

犯人はそうかそうきたか・・・という感じでした。(意味不明^^; )
主人公に感情移入出来なかったんですよね、その分、いまいちだったかもしれない。
いくらメークを完璧にしてたとはいえ、30代の女が60歳に化けてバレないっていうのは、こんなのあり?ってのがまず最初にあったのも要因かも。でもこれ言っちゃこの本はおしまいですね(笑)
でも読みやすかったです。 ★★☆☆☆



ドールズ 闇から招く声     高橋克彦 角川書店1700円税別

マンションの一室でおびただしい血を垂れ流す男女のばらばら死体。奥の部屋から漏れてくる少年のすすり泣く声…。稀代の名キャラクター・泉目吉が対峙する連続猟奇殺人事件。日本ホラーの第一人者がおくるシリーズ最高傑作、待望の刊行。






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